低・中所得国の政府に融資や補助金を提供する国際金融機関である世界銀行は、9カ国の低炭素冷房ソリューション開発を支援するために、1億5700万米ドルを投入する計画していると、世界銀行の「World Bank’s Energy Sector Management Assistance Program(ESMAP)」ウェブサイトにて発表された。
効率的でクリーンな冷却プログラムを支援
同プロジェクトは、冷房に特化した世界初の複数国間融資制度である世界銀行の「World Bank’s Cooling Facility」を通じて実施される。同ファシリティは、安価で効率的な低炭素冷房の導入を促進するための市場インフラ、資金調達メカニズム、政策、規制の整備を各国が支援することを目的としている。
このプロジェクトの資金は、「国連の緑の気候基金(GCF)」から拠出される。GCFは途上国の気候変動に対して、適応策や緩和策を支援するための国連機関です。 「World Bank’s Cooling Facility」 は、今後9カ国における気候変動に配慮した冷却技術やシステムの導入を妨げてきた障壁に対処する予定だ。
エルサルバドル、ソマリア、サントメ・プリンシペでは、信頼性が高く、気候に優しいワクチンのコールドチェーンや、医療施設における低炭素型の冷却システムの導入を支援。マラウイとケニアでは、農村地域や農業部門における低炭素・低コストの冷房を。そしてパナマ、バングラデシュ、北マケドニア、スリランカでは、パッシブおよび低炭素型の冷却ソリューションを通じて、エネルギー効率の高い建物建築の支援をおkなう。
さらに冷却ファシリティは、HFCの生産と消費の世界的な段階的削減スケジュールを定めたモントリオール議定書キガリ改正の支援も行っている。GCFからファシリティに動員された資金は、さらに7億2,280万米ドルの世界銀行の共同融資を活用することが期待されている。今後10年間で、気候変動の緩和や気候変動への対応に加えて、冷却ファシリティは推定913万tのCO2e排出を防ぐことが期待されている。
今回のクーリング・ファシリティは、世界銀行が21年4月に発表した「Efficient Clean Cooling Program」に続くもので、発展途上国における空調、冷蔵、コールドチェーンなどの持続可能な冷房ソリューションの導入を促進するためのプログラムである。同プログラムは、効率的な冷却システムが世界銀行グループの新規投資プロジェクトに含まれるよう技術支援を行い、さらなる資金を動員することを目的としている。
ESMAPと世界銀行の気候変動グループが主導するプログラムは、冷房のエネルギー効率を高めるために各国を支援するために設立された慈善団体「Clean Cooling Collaborative」(旧称:Kigali Cooling Efficiency Program、K-CEP)から300万ドルの助成金を受けて実施される。世界銀行は4月に気候変動行動計画(CCAP)を発表。今後5年間で、世界銀行の気候変動資金目標を総コミットメントの35%に引き上げることを約束した。
参考
World Bank to Deploy US$157 Million for Clean Cooling Initiatives in Nine Countries
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
原著者:シルシャー・アメルハイル
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