東京大学大学院と、米Stanford Universityの研究グループは、蒸気圧縮ヒートポンプサイクルと吸着ヒートポンプサイクルを組み合わせた、新たなヒートポンプサイクルの概念を提唱・発表した。
CO2ヒートポンプは、通常8~10MPaの高圧で運転すす。2022年11月4日にに発表された研究グループの提案は、圧縮・吸着ハイブリッドヒートポンプにCO2と金属有機構造体を適用させるというものだ。これにより、半分程度の圧力で運転しても、同程度の暖房成績係数(COP)を示すという。
また、研究グループは冷媒を圧縮、膨張させて熱を取り出す蒸気圧縮ヒートポンプサイクルと、多孔質材料がガスを吸着する現象を利用した吸着ヒートポンプサイクルを組み合わせたハイブリッドヒートポンプサイクルを提案している。冷媒と多孔質材料の組み合わせを開発することにより、さらに低い圧力で成績係数を向上させることが期待できる。本研究で提案する圧縮−吸着ハイブリッドヒートポンプサイクルは代替フロン冷媒から自然冷媒への転換に貢献すると考えられえる。
本研究は、JST―CREST研究領域「ナノスケール・サーマルマネージメント基盤技術の創出」「ナノ空間材料に内包された水の吸着・移動の熱制御(課題番号:JPMJCR17I3)」の支援を受け、東京大学大学院工学系研究科ダイキン工業社会連携講座「次世代空調技術の創成」において実施された。
本研究成果は、2022年11月3日(米国東部夏時間)に米国科学誌「Cell Reports Physical Science」のオンライン版に掲載された。