日本、COP26でFガス管理強化、削減を強調

日本、COP26でFガス管理強化、削減を強調

2021年11月10日に開催された、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)のサイドイベント「Sustainable and Efficient Cooling for a Warming Planet(温暖化する地球のための持続可能で効率的な冷却)」。同イベントにて、日本はHFC排出量を制限し、持続可能な冷却促進のためのライフサイクル管理が重要だと強調した。

HFCのライフサイクル管理を世界へ呼びかける

「フルオロカーボンのライフサイクル管理に関するイニシアティブ」(IFL)は、日本が主導する国際的なイニシアティブで、積極的に意識を高め、政策、能力開発、Fガス削減活動の協力を促進している。

 

環境省フロン類対策室の大澤由利江副室長は、「HFCへの対応は、日本を含むすべての国の気候変動緩和のために、非常に重要な施策であると提言。日本から世界へ、HFCのライフサイクル管理に関する行動を呼びかけた。

 

2018年、日本はモントリオール議定書のキガリ修正案を批准し、2036年までに先進国グループとしてHFCの生産と消費を85%削減する目標が課せられている。今回のIFLプログラムでは、「低GWP冷媒や自然冷媒の導入」を推進しているが、発表会ではそれらには触れられなかった。

 

大澤氏の発表に続いて、海外環境協力センターの加藤誠主任研究員が、同センターとClimate and Clean Air Coalitionが共同で作成している「HFCのライフサイクル管理のためのリソースブック」について説明した。イベントの詳細とプレゼンテーションの録画は、こちらからアクセス可能だ。

COP26で使用の冷蔵庫、HFC採用で議論

COP26で使用の冷蔵庫、HFC採用で議論

英国グラスゴーで開催された気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、過去2週間に渡って使用された業務用冷凍機に、高GWPの冷媒が使用されていたことが判明した。温室効果ガスの排出量を削減するという会議の使命と、開催国である英国政府のカーボンニュートラルの目標に反する行為として、議論を呼んでいる。

ブルーゾーンに設置されたHFC冷蔵庫

COP26の「ブルーゾーン」(主要会議場)に設置された移動式のガス冷蔵庫が発見されたことは、Gizmodo.comによって初めて報じられた。同サイトのレポートでは、COP26で撮影された冷蔵庫のラベルの写真が掲載されており、飲料やサンドイッチが陳列されているオープンショーケースにはR449A(100年GWP 1,400、20年GWP 3,100)が、冷蔵庫にはR452A(100年GWP 2,141)が使用されていたという。

 

どちらの冷媒も、約4分の1がR-1234yf(HFO-1234yf)で構成されている。同冷媒は大気中でトリフルオロ酢酸(TFA)に変化し、降雨によって地球上にもたらされるが、耐久性の高い化学物質であり、欧州では規制の対象となる可能性があると指摘されている。また、時間の経過とともに人の健康や環境に悪影響を及ぼす可能性があると考えられている。

 

ケースに貼られたラベルによると、2台の冷蔵庫は英国・ユートクセターのLowe Rental社が供給したもので、オープンショーケースはイタリアのDe Rigo Refrigeration社が製造したものだ。

 

米国環境調査エージェンシー(EIA)の気候変動担当、アビプサ・マハパトラ氏は、Gizmodo.comに対して次のように述べている。「気候変動に関する会議で温暖化係数の高い冷媒を使うことは、燃えている家にガソリンを注ぐようなものです。この行為は、英国政府が環境問題を前へ進めることを軽視していることを明らかにしており、二酸化炭素排出量削減をうたう同会議の信頼性を失墜させる行為です」

 

sheccoが運営する「Hydrocarbons21.com」では、COP26では市場で広く普及しているR290内蔵型ショーケースを代替として採用できたのではと、マハプトラ氏にメールで質問した。

 

「De Rigo Refrigeration社は、R290ユニットも製造しています。今回のCOP26では、Fガスの削減は主眼ではありませんでしたが、持続可能な冷房をテーマにした会議が多く開催されました。一部の国では、温室効果ガスの排出量を削減するための計画であるNDC(国家確定拠出金)にHFCの削減を盛り込んでいます。さらに、COP26に参加した多くの国は、今後25年間でHFCを全世界で段階的に削減することを定めたモントリオール議定書のキガリ修正案を批准しています。

 

COP26の期間中、内蔵型ショーケースであれば冷媒漏えいも最小限に抑えられるでしょう。しかし、HFCの場合、使用中はもちろん製造時や廃棄時にも、冷媒漏えいにリスクを負うこととなってしまいました」

 

同氏は明言こそなかったものの、HFCショーケースを選択した今回の会議の判断は、誤りであったことをにじませた。

COP26の「カーボンマネジメントプラン」

COP26における温室効果ガス排出を最小限に抑えるための取り組みは、英国政府の委託を受けたコンサルティング会社、Arup社が作成した「カーボンマネジメントプラン(CMP)」に記載されている。CMPでは、英国が「カーボンニュートラルなCOP26を実現することを約束する」とし、その目標を達成するための方法を説明している。

 

報告書によると、COP26会期中における温室効果ガス排出量の大部分は国際航空からのものであり、「ベースライン・フットプリントの約60%に相当する」と推定。それ以外には、以下のような項目で温室効果ガス排出が見られたとした。

 

  • 代表者や参加者の宿泊施設
  • イベント期間中の警察・警備
  • イベント期間中の会場への往復交通費
  • 会場のエネルギー、水、廃棄物の管理
  • 会場のエネルギー、水、廃棄物の管理
  • 仮設会場の建設と資材の輸送
  • 会場でのケータリング

 

冷蔵分野に関しては、CMPでは「会場のエネルギー、水、廃棄物、ケータリング、COP26期間中の冷媒排出量」に該当すると、ARUPの報告書では触れられている。報告書では、COP26は「実現可能な範囲でGHGの影響の規模を縮小する機会を革新、模索、特定、実施するために、デリバリーパートナーやサプライヤーと協力することを含めて、通常通りのアプローチで排出量を回避、削減する」ことになると言及。同社に対してHFC冷蔵ショーケース採用の見解を取材したが、コメントは現在まだ得られていない。

参考

Fridges Used at COP26 Incorporated High-GWP HFCs
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

 

原著者:マイケル・ギャリー

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米EPAリーガン長官、COP26でHFC違法取引阻止のグローバルな取り組みを要請

米EPAリーガン長官、COP26でHFC違法取引阻止のグローバルな取り組みを要請

米国環境保護庁(EPA)長官のマイケル・リーガン氏は、英国グラスゴーで開催された気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)での演説で、HFCsの違法取引を抑止・撲滅するためのグローバルな取り組みを呼びかけた。

他国に期待

リーガン長官は、11月9日に米国パビリオンで開催された世界のリーダー、ビジネス関係者、NGOによるパネルディスカッション「Securing the Climate Benefits of the Global HFC Phasedown」に登壇。「Securing the Climate Benefits of the Global HFC Phasedown: Preventing Illegal Trade in HFCs(全世界でHFCに関する強制力のある違法取引抑止・撲滅を目的とした規制施行の重要性)」と題したパネルで、国際的なHFC規制の重要性に言及した。

 

欧州では、EUのFガス規制によりHFCの入手が困難になって以来、過去数年にわたって違法なHFC取引が横行している。9月にはEPAが米国革新製造法(AIM法)に基づく独自のHFC段階的削減プログラムを制定した。

 

リーガン氏は、HFCの世界的な段階的削減は、気候危機への対応に不可欠であると説明。HFCの違法な取引は、段階的削減による気候変動への恩恵を損なっていると警鐘を鳴らす。同氏は、他国もまたHFCの違法取引を検知し、その抑止・防止策を講じることを期待すると述べた。

 

さらにリーガン氏は、EPA独自の「強固で、機敏で、革新的なコンプライアンスと執行システムを説明した。この規則では、次の項目が定められている。

 

  • 商取引によるHFCの移動について、電子的な追跡システム(QRコードを含む)を確立する
  • 詰め替え可能なボンベの使用と容器のラベル表示を義務付ける
  • 規則に違反した場合、民事および刑事上の強制措置に加えて、行政上の罰則(例:許容量の無効化または除去)を設ける
  • 企業の記録管理と報告について、第三者による監査を義務付ける
  • 一般市民や市場参加者にHFCの生産と消費のデータの透明性を提供し、執行とコンプライアンスの取り組みを支援する
  • HFCの違法取引を防止するために、EPAは他の連邦機関、特に米国税関・国境警備局と連携する

 

こうした各国のノウハウや経験を共有することで、気候変動の原因となるHFCを違法に取引しようとする者が用いる共通の慣行を特定・防止することができるのです。

EPA長官 マイケル・リーガン氏

 

参考

U.S. EPA Administrator Regan Calls for Global Effort to Stop Illegal Trade of HFCs
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

 

原著者:マイケル・ギャリー

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