三菱電機、スウェーデン市場に大きく一歩踏み出す

スウェーデンにて展開される三菱電機株式会社のCO2冷媒使用コンデンシングユニット「ECOV」

三菱電機株式会社は、CO2冷媒使用のコンデンシングユニット「ECOV」シリーズを、スウェーデンにて本格的に展開を発表。欧州のFガス規制もクリアした高水準のシステムで、同国の市場に大きく踏み出そうとしている。

高い汎用性で、現地顧客の経済活動を支援

本ニュースは、現地時間2021年3月31日にて同社のスウェーデン拠点の公式HPで公開。「ECOV」システムは三菱電機の持つ優れたインバータ技術により、運転効率の最適化に寄与。通信制御装置で遠隔にて蒸発温度を調節でき、エンドユーザーごとに適した冷却能力を得られる。

 

「Modbus」規格採用のモニタリングコントローラーにより、あらゆるデータを遠隔にて監視することも可能だ。汎用性の高いシステムにより、ガソリンスタンドや小さな食料品店、レストラン、学校の調理室、冷凍冷蔵倉庫など幅広いニーズに対応できる。その上で、同機種にはCO2冷媒が採用されている形となる。

 

ECOVの使用により、食品貯蔵と冷却用途のソリューションを最適化できます。顧客の環境配慮および経済性に、大きく貢献できることでしょう。
三菱電機株式会社 アンダー・ニルソン氏
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欧州のFガス規制は、日本国内のそれよりも非常に厳格に定められていることは周知の事実である。そこでコンデンシングユニット販売を拡大するということは、三菱電機が規制のなかで商品展開する準備ができているということに他ならない。現在は同社に、同機種の国内展開について問い合わせているところである。

参考出展で伺う市場の反応 【スーパーマーケット・トレードショー2020レポート Part2】

2019年2月12日〜2月14日の3日間、千葉県・幕張メッセにてスーパーマーケット・トレードショー2020(主催: 一般社団法人新日本スーパーマーケット協会)が開催された。国内外の小売業・卸・商社・中食・外食から2,326社・団体が参加し、合計3,577のブースでそれぞれの製品・サービスを披露した。新型コロナウイルスの影響も心配されたが、3日間で合計80,428名の来場者を記録。本誌が注目する小売店・食品倉庫等をターゲットとするエリアでは、前年にも増して多くの自然冷媒ソリューションが見られた。なかでも注目したのが、炭化水素冷媒の飛躍である。

AHT社のショーケースを参考出展 ダイキン

ダイキン工業株式会社のブースでは、昨年も展示した冷凍ストッカーの大容量タイプを新たに展示。これまでの150L、200L、300L、400L、550Lの5クラスから、さらに600L、750Lクラスの2種類をラインナップとして加えた。いずれも最大-23℃まで冷凍可能で、400Lクラスまではイソブタン(R600a)、500L以上はプロパン(R290)を採用。現状の充填量規制に合わせ、すべてのラインナップが150g以下の充填量に対応している。

 

「納入先は温泉旅館や飲食のバックヤードが中心です。その他には農家や離島の個人ユーザー様など、食料の大量かつ長期保存を求める層にも受け入れられています」と、低温事業部 営業部 冷設システムグループの有井 哲二氏は語る。7種類のラインナップからの拡充は、展示会でのエンドユーザーからの声を反映させていきたいという。

 

「現状、想定できるものではスリムな家庭用冷蔵庫に近いタイプなどが、追加ラインナップの可能性として想定できます」。サイズのニーズには極力応えていきたい一方で、-18℃以上など温度帯が上がると、食品の長期保存に悪影響があることも見逃せない。サイズと温度帯の両立を大前提に、今後技術開発を進めていく予定である。

 

今回、ダイキンのブースではもう1 つ特筆すべき展示が見られた。AHT社が展開する多段ショーケース「VENTO GREEN(ベントグリーン)」である。同機種はプロパンを採用。VENTOシリーズは累計約68,000台(2020年2月時点)納品されているが、うち23,000台を「VENTO GREEN」が占める。なお納入先は、ほとんどが欧州市場である。空冷式、水冷式両方に対応しているが、欧州では水冷式かつブラインを採用したウォーターループシステムでの運用も多い。

AHT社の多段ショーケース「VENTO GREEN」

ダイキンが2018年11月にAHT社の買収を発表して以来、同社製品を大々的に出展したのは今回が初めてだ。あくまで参考出展という形だが、プロパンショーケースの欧州市場以外での可能性を図ることが目的の1つだという。AHT社のショーケースはオーストリア、アメリカ、ブラジル、中国に大きな生産拠点を持つ。多段ショーケースを生産しているのは、販売先の中心地であるオーストリアとアメリカ。

 

「今回の出展を機に、アジア市場での可能性を模索していきます。エンドユーザー様からの声も集めつつ、好意的な反応が多ければ、中国拠点での製造を打診することも視野に入れる必要があるでしょう」。有井氏によれば、来場者からの反応は良好であるという。ダイキンの2020年度は、設置もしやすい内蔵型の自然冷媒ショーケースの可能性を探る1年となることだろう。

プロパンのコンデンシングユニットを参考出展 三菱電機

本展示会では、来場者の反応を見るために炭化水素ショーケースを「参考出展」する事業者が多く見られた。三菱電機株式会社も、その一社である。同社はプロパン内蔵の多段ショーケースを参考出品。それに加えて、プロパンのインバータコンデンシングユニットを搭載したリーチインショーケースも参考出展した。

三菱のプロパン内蔵多段ショーケース

展示されたショーケースはR410aを使用しているが、ショーケース上部にプロパンの圧縮機ユニットを搭載することで、そのまま運転することができるという。基本的な外形はHFCと変えず、制御部も同じままでプロパンを採用できるのが、大きなメリットである。展示された圧縮機であれば、多段ショーケースなら4尺、平型ショーケースなら6尺までは対応できると同社は試算する。

 

ラインナップ拡充のカギを握るのは、IECの国際規格とリスク管理とのバランスだ。可燃性冷媒の充填量が150gから500gに引き上げられたとはいえ、公益社団法人日本冷凍空調学会が進めるリスクアセスメントの動向や、実際に現場で使用するための環境整備も必要となる。既存の充填量150g以下でどこまでの製品をカバーできるか確かめる必要もあるという。2020年度からカタログに掲載して販売するという方法は取らず、技術開発と認知度向上を並行して行いながら、安全性を担保していく予定だ。

最適な充填量も探りながらノンフロン拡充へ サンデン

サンデンのプロパン内蔵多段ショーケース

サンデン・リテールシステム株式会社のブースでは、2つの炭化水素ショーケースが参考出展されていた。1つはイソブタンの卓上ケース、もう1 つはプロパンの飲料ケースである。いずれも内蔵型であり、コンビニエンスストアなど室外機を置けない店舗にも対応できる形となっている。コールドチェーン事業部 商品企画部の石井 希一氏によれば、飲料ケースなど多段ショーケースに関しては、充填量の最適化も含め調整を進めているとのことだ。

 

「今回展示したショーケースは約3尺のサイズですが、これまでの規制範囲内である150g以下でも冷えるのか、逆にそれ以上の充填帳が必要かも、現在テストを進めています。安全性とコストが両方担保できる最適な充填量で、市場へ投入していきたいところです」。IECにて決定された充填量引き上げに対して、国内の規制や法整備が出揃うタイミングを測りつつ、ノンフロンショーケースのラインナップをそろえていきたいところだ。

自然冷媒の「知」を共有 「最新省エネ冷凍機器技術セミナーと相談会」開催

2019年11月27日、一般社団法人 日本冷蔵倉庫協会 環境・安全委員会主催の「最新省エネ冷凍機器技術セミナーと相談会」が開催された。同会には協会関係者をはじめ、国内のメーカー各社、エンドユーザーから約100名が集まり、自然冷媒機器の開発事情や導入実例を発表。今後の自然冷媒市場の活性化のため、それぞれの知を共有する場となった。

 

文: 佐藤 智朗、岡部 玲奈

独自戦略で進む国内メーカーの技術開発

日本冷蔵倉庫協会 環境・安全委員長の松田 浩氏は、開会の挨拶にて昨今の地球温暖化問題の現状に触れ、社会インフラの一翼を担う業界の責任について言及。2020年をもって生産終了となるR22をはじめ、フロン類からの脱却、自然冷媒への移行が最重要の課題であることを改めて訴えた。松田氏は続けて、「その志を同じくして、本日お集まりいただきました皆様に、改めてお礼申し上げます」と、感謝の意を伝えた。

 

一番手となった冷媒動向セッションでは、自然冷媒技術を提供する各種メーカーが将来的な需要も加味した、それぞれの技術開発動向、および自社製品の特長について発表。パナソニック株式会社アプライアンス社、日本熱源システム株式会社、長谷川鉄工株式会社、三菱電機株式会社、三菱重工冷熱株式会社の計5社が登壇した。

 

パナソニック株式会社アプライアンス社は、コールドチェーン事業部の島田 賀久氏が登壇。排熱利用に伴う付加価値付与、そして食品工場にも対応できるような大容量化システムの開発。それに合わせた遠隔監視などの、効率的な機器運用にも力を入れている現状を説明した。日本熱源システム株式会社は、CO2営業部の片岡 昌氏が登壇し、同社のCO2単独冷凍機「スーパーグリーン」について、新たにラインナップとして加わった102kWの冷凍能力を持つF3タイプも紹介された。同シリーズは全国的に納入実績を着々と伸ばし、2019年6月時点で164台に達している。猛暑に対する散水システムなどの対策により、空冷式の同ユニットは夏場でも十分な省エネ効率を実現した。

 

長谷川鉄工株式会社は、事業本部営業部の佐伯 善弘氏が、自社内の自然冷媒およびHFOによる、低GWP冷凍機の展開事例や、省エネ効率をさらに加速させる2つのアプリケーション「DEMS」と「Yuricargo」に言及した。三菱重工冷熱株式会社からは、エンジニアリング事業本部の小篠 正慶氏が、同社のCO2コンデンシングユニット「C-Puzzle」を紹介。F級、C級どちらも1台でまかなえる柔軟性の高さや、メンテナンスの労力を極力抑えることのできるスクロータリーシステムの優位性について解説した。三菱電機株式会社は、冷機システム製作所 営業部の平尾 泰良氏が登壇。機械の更新や二重投資の負担を軽減するために、同社が考える低GWP冷媒の選択の方向性を紹介した。

倉庫全体が冷媒動向を注視すべき

日本冷蔵倉庫協会 技術部長 田村 裕氏

市場動向セッションでは、日本冷蔵倉庫業界の技術部長 田村 裕氏が、独自の試算を元にした国内の冷蔵倉庫業界における自然冷媒動向を発表。2018年度に入り、自然冷媒の使用率が30%を突破。2014年、政府による補助金事業が始まったのを契機に、徐々に自然冷媒使用率は増えているものの、現在のペースが続いた場合、R22の使用率が0%になるのは2035年になるという見通しを提示した。

日本でもフロン排出抑制法の改正や生産量低下によって、今後HFCをはじめとしたフロン類の確保は難しくなる。メーカーはもちろん、エンドユーザーとなる倉庫業界全体でも、冷媒動向をつぶさに観察し、正しい選択をする必要があることを田村氏は強調した。また、同会では本誌を発行するshecco Japan株式会社からも、本誌編集長の岡部 玲奈が登壇。オンライン、オフラインを通じて行なっている社全体の自然冷媒の啓蒙活動を紹介し、IEC(国際電気標準会議)による炭化水素の規制緩和や、ヨーロッパのFガス規制やFガス税によるフロンの価格高騰、日本の大容量システムの需要などに触れた。

 

省エネ性、環境配慮安全性の全てに好影響

エンドユーザーパネルでは、協和冷蔵株式会社、株式会社フリゴ、浜松委托倉庫株式会社らエンドユーザーが、それぞれ自社における自然冷媒機器の導入事例を発表した。

 

協和冷蔵は、本社広島物流センターの森近 彰氏が登壇。本社物流センターは、合計14,770tの収容能力を持つ。そのうち、昭和56年2月に竣工したF級5,226tについて、株式会社前川製作所のアンモニア/CO2冷凍機「NewTon」へ切り替えを実施した。また平成24 年に完成した広島流通加工センターについても、F級にて前川製作所の「NewTon」を採用。平成29年に増設した同センターのC級倉庫についても、「NewTon」を設置している。既設・新設両方で積極的に自然冷媒機器を採用した結果、流通加工センターの年間消費電力量が、設備tあたりで85kW~88kWと、非常に優れた省エネ性を発揮している。
 

フリゴは、同社の会長で日本冷蔵倉庫協会の副会長を務める西願 廣行氏が登壇。これまで同社では、和歌山第一物流センターの設備更新、北港物流センターの新設、和歌山第二物流センターの設備更新の3事例で、環境省の補助事業を活用し自然冷媒機器を導入した。なお、機器は長谷川鉄工のアンモニア直膨とアンモニア/CO2機器を採用している。CO2削減効果は、補助金申請時には280.8CO2tと想定していたが、2018 年度実績では430.7CO2tと、大幅な改善を実現した。この他に、アンモニア保有量は全体で88.8%(2,100kg → 235kg)削減、月間使用電力量も、メーカーによる運転最適化の結果、26.7%削減(2019年10月と2018年10月で対比)を実現するなど、自然冷媒機器導入が環境配慮・経営改善で大きく貢献した。
 

最後に登壇した浜松委托倉庫の事例紹介をしたのは、不動産部次長の須山 貴司氏。同社は1995年よりR22冷媒を採用した冷凍機を使用しており、屋上にクーリングタワーを設置し、水冷却を用いていた。その老朽化に伴う設備更新に対して、日本熱源システムのCO2冷凍機「スーパーグリーン」のF2タイプを2台採用。2018年8月単月での削減は、R22冷凍機と比較して前年比11.1%、2019年は前年比17.4%と大幅な省エネ効果を得られている。年間を通じても、フロン機と比較して約30% の削減が見込めると、須山氏は説明する。水冷式から空冷式へ移行したことで、水道料金の削減にも貢献。2019年10月の記録的豪雨では2日間にわたり停電に見舞われたが、安全弁が作動したことで冷媒の漏洩は少量であった。期せずして、機器の安全性を証明する結果にもなったという。

エンドユーザーパネルディスカッション

冷蔵倉庫業界は事業活動を続けるにあたり、冷凍設備への大型投資を避けて通ることができない。だからこそ、事業者の垣根を越えた協会が主導して、自然冷媒に関する知識・ノウハウを共有する場を設けることには、大きな意味があるだろう。数々の事例や製品ライナップを目の当たりにして、今後さらに自然冷媒機器導入が加速することを願ってやまない。

 

今回の発表では、複数の登壇者から開発・導入の際、本誌が提供する情報が大きく役立ったという声を頂戴した。今後も彼らのような声が増え続けるよう、自然冷媒に対して後押しとなるべき啓蒙活動を継続していきたい。

『アクセレレート・ジャパン』26号より