バイデン大統領、パリ協定復帰に正式署名

現地時間の2020年1月20日正午(日本時間の21日午前2時)頃、米国のジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニア氏が、米連邦議会議事堂前でロバーツ連邦最高裁判官を前に、大統領の就任宣誓を行った。正式に第46代大統領に就任したバイデン氏は、宣言通りパリ協定の復帰に署名した。

2020年11月の正式離脱からの復帰

バイデン新大統領は1月20日、就任式を経て執務を開始。トランプ前大統領が経済的負担を理由に、2020年11月正式に離脱した「パリ協定」へ復帰するための文書に署名した。2015年11月30日〜12月13日に、 国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて採択された「パリ協定」は、2016年に発効。京都議定書に代わる、2020年移行の温室効果ガス排出削減等のための、新たな国際枠組みである。

 

バイデン新大統領は米大統領選にて選出直後も、自身の公式HPにて記載した気候変動対策とクリーンエネルギー公約の中で、モントリオール議定書のキガリ改正とそのHFC削減計画を最初に「受け入れる」つもりであると明記。気候変動を安全保障上の脅威と位置づけ、新政権における最優先課題の1つと位置づけ、取り組みを強化する方針を示している。

 

参考

バイデン氏、キガリ改正「受け入れる」意思示す

バイデン氏、キガリ改正「受け入れる」意思示す

米大統領選にて選出のジョー・バイデン氏は、 彼の公式HPに記載した気候変動対策とクリーンエネルギー公約の中で、モントリオール議定書のキガリ改正とそのHFC削減計画を最初に「受け入れる」つもりであると明記した。米国上院のHFC規制に対する超党派の支持により、キガリ改正の批准国のリスト(現時点では109か国とEUが批准)に、米国が追加される可能性が浮上したのである。

前政権から大きな変化の兆し

前トランプ政権下では、米国政府はSNAP(大気浄化法の重要新規代替物質政策)プログラムの下で、HFCを規制しておらず、モントリオール議定書のキガリ改正にも批准しないという態度を示していた。しかしこれらの政策はいずれも、バイデンの下で逆転する可能性が出てきた。

 

バイデン氏の掲げる環境計画では、気候変動に焦点を当てた、省庁横断型の「応用研究プロジェクトエージェンシー(ARPA-C)」を設立する予定だ。ここでは、「アメリカが100%クリーンエネルギーの活用実現目標を達成するのに役立つ、コストパフォーマンスの高いの画期的なテクノロジー」を対象とする。このなかで引用された技術のひとつに、「地球温暖化係数(GWP)のない冷媒を使用した冷凍および空調」も含まれる。

 

すでに米国内では、16の州(ハワイ、オレゴン、ロードアイランド、マサチューセッツ、メイン、コネチカット、デラウェア、メリーランド、ペンシルベニア、ニューヨーク、コロラド、バージニア、カリフォルニア、バーモント、ワシントン、ニュージャージー)で、独自にHFC制限を採用する法律を可決したか検討中である。

 

連邦レベルで は、2020年に米国議会の両院にて、超党派によるHFC規制法案「上院法案S.2754」「下院法案HR5544」が提出された

 

Emerson副社長であり、ヘリックス・イノベーションセンターのシステム・イノベーションセンターおよびサステナビリティを担当するラヤン・ラジェンドラン氏は述べています。 10月21日開催の自然冷媒国際会議「ATMOsphereAmerica 2020」にて、「1月の上院議員選挙で誰が選出されるかに関わらず、法案は可決されるでしょう」と自信をにじませる。バイデン氏の冒頭の宣言を鑑みるに、同氏が法案に賛成、署名することはほぼ確実だからだ。

 

カリフォルニア州大気資源局の大気汚染専門家であるグレン・ギャラガー氏は、独自のHFC規制を策定する上で最も積極的な米国の州であるカリフォルニア州でさえ、HR5544が良い法案であるという認識を示していると話す。

環境計画の新基準

バイデン氏は自身の環境計画の中で、エネルギー効率の高い機器や建物の必要性も強調。実際に、計画では以下の点に重点を置いている。 

  • 建物、住宅、電化製品のエネルギー効率基準を実装。特に、冷暖房費の消費者の節約に重点を置く。
  • エネルギー省に、家電製品および機器の新しい効率基準を策定するための取り組みを急ぐよう指示。
  • 建築基準法の改正を急ぐ。これにより、州および都市が厳格な建築基準法を採用し、建築業者・検査官を訓練するための新しい資金調達経路を確保する。
  • 2035年までに、米国の建築由来の二酸化炭素排出量を50%削減するという目標を設定。電化製品の電化、効率等のクリーン発電を組み合わせた大幅な改修インセンティブを作成する。

バイデン氏は、気候変動対策に包括的な対策を講じ、2050年までに米国経済全体の「実質排出ゼロ」を目標とするとした。

ATMOsphere Americaの環境調査エージェンシーのシニア政策アナリストであるクリストファー・スター氏は、現状を次のように分析する。

実質排出ゼロの目標は、米国内にとって今後数十年に渡る、気候変動対策への最大の推進力となるでしょう。既存システムの冷媒を実際に置き換えるには、約15〜20年、もしくはそれ以上かかると推測できます。この目標実現には、2030年頃から新しい機器すべてから、HFCを除外しなくてはなりません。

ATMOsphere America 環境調査エージェンシー シニア政策アナリスト クリストファー・スター氏