2020年10月26日、菅首相は所信表明演説にて、「2050年までに、温室効果ガス排出量を実質ゼロとする」目標を宣言。首相が本件について言明した意義は非常に高いと、各方面から期待が寄せられる。
HVAC&R業界の動きに追い風となるか
菅義偉首相は、就任後初となる所信表明演説を実施。そのなかで温室効果ガス排出量の目標に言及したことは、環境配慮の取り組みを続けてきた企業・団体から賛同の声が寄せられた。
気候変動対策は、国を問わず世界中で議論すべき重要な課題だ。2050年までに実質排出量をゼロにするという目標は、EUも動揺に掲げている他、中国も2060年までに、CO2排出量を減少させカーボン・ニュートラルな社会を目指すという宣言を、2020年9月に国連総会で発表している。
HVAC&R業界で最重要の関心事となる、モントリオール議定書キガリ改正において、日本は2036年以降で代替フロンを85%削減(2016年の約7,100万CO2-tを基準)し、温室効果の低い冷媒へ移行する義務が課されている。
菅首相による所信表明演説は、この動きを奨励しさらに加速させる、非常に喜ばしい宣言といえるだろう。
『アクセレレート・ジャパン』発行元であるshecco Japan CEO ヤン・ドゥシェックより
「2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにする」という宣言を菅首相が発表したことは、日本のHVAC&R業界にとって大きなチャンスと捉えられます。
過去10年間で、日本は自然冷媒を採用した優れたエネルギー効率を持つ技術を多く開発し、市場に展開してきました。今後10年間で、私達の業界はすべての冷凍部門においてこの動きを加速させ、特に空調部門にて高効率機器への移行に備えるため、お互いに協力する必要があるでしょう。
日本のメーカーの優れた技術力により、HVAC&R領域は「二酸化炭素排出量ゼロ」の目標に向け、一歩先んじることができていると確信しています。しかし、さらなる進歩には眼前に多くの課題があり、大胆なリーダーシップが必要です。
この機運を逃さぬよう、まずは2030年を視野により野心的な目標を定め、一歩踏み出すところから始めましょう。