2023年2月、恒例行事である「スーパーフェブラリー」が開幕した。今年は「第57回スーパーマーケット・トレードショー2023(SMTS 2023、主催: 一般社団法人 全国スーパーマーケット協会)」と「HCJ 2023」(主催: 一般社団法人日本能率協会)がそれぞれ開催された。新型コロナウイルス感染症も同時期に落ち着きを見せ、「SMTS 2023」には62,525名、「HCJ 2023」には46,457名がそれぞれ来場。昨年の42,885名、28,328名から大きく数字が回復した。
「SMTS2023」にて、CO2冷凍機「スーパーグリーン」とFreor 社のR290 プラグインショーケースならびにウォーターループシステムを展示した、日本熱源システム株式会社。「スーパーグリーン」に関しては、小売業にも適した小型機を披露。R290プラグインショーケースも徐々に市場へ投入されているが、ウォーターループシステムが国内市場に受け入れられるかが、2023 年の大きなトピックとなるだろう。
小規模冷凍冷蔵設備に対応の「0.5」モデル

日本熱源システムは、毎年開催されるHVAC&Rの展示会にて、自社の主力製品「スーパーグリーン」を展示し話題を集めている。今回同社が披露したのは、ショーケース用の小型機種だ。F 級・C 級それぞれ1 機種ずつ(「SG-F0.5」「SG-C0.5」)のラインナップを有する同機種は、共に12 馬力の出力を持つ。
このモデルは一度、2014 年に小売店舗へ納入された事例がある。その後、同社はF 級・C 級共にCO2冷凍機の大型化で開発を進めてきたが、この度「0.5」モデルも発売可能な機種として、ラインナップに加わった。ターゲットとなるのは主に小売店舗で、店内の冷凍冷蔵ショーケースに用いられる他、バックヤードのストックルームにも利用できる。産業用分野においても、食品工場の原料倉庫など小型の冷凍冷蔵倉庫を持つエンドユーザーにも提案していきたい考えだ。
2023年2月時点で、食品倉庫に対して提案を進めている段階で、早くも日本熱源システムの新たなソリューションが市場に投入されそうだ。今後、市場での競争力を高めるために、コスト低減にも対応していきたいとする。ケーシングは産業用分野を想定した頑丈な造りであり、原価を抑える余地が十分にあるという。
ウォーターループ元年なるか

2023年の「スーパーフェブラリー」においても、R290 採用のプラグインショーケースが数多く展示された。他社に先駆けて、Freor 社のプラグインショーケースを大々的に展示してきた日本熱源システムは、「SMTS 2023」もFreor社製のショーケース「JUPITER」「PLUTON」「ERIDA」など、島型ショーケースからリーチインショーケースまで幅広く展示。冷凍・冷蔵両方の用途での問い合わせは多く、小規模でのショーケース採用の引き合い
は確実に増えているという。
一方、Freor社のウォーターループシステムについては、依然として苦戦を強いられている。日本熱源システムは2019 年の展示会にて、はじめてFreor 社のウォーターループシステムを展示し話題を集めた。海外に目を向けると、スウェーデンやオランダなど欧州各国にて、着実に同システムを採用した小売店舗がオープンしている。同社のウォーターループシステムは、R290 のプラグイン・ショーケースに密閉されたブラインを循環させるシステムを組み合わせる方式が採用されており、ショーケースや冷蔵庫・冷凍庫はブラインによって冷却される凝縮器を内蔵する。
ウォーターループシステムは冷媒漏えい量の大幅低減、冷媒充填量の抑制、高い省エネ効率などメリットが多い。ショーケースで生じる排熱を有効活用する「ブラインシステム」、排熱利用・排熱放出で夏冬両方に対応した「ハイブリッドシステム」など、気温差の激しい地域にも猛暑・厳寒の厳しい地域にも適応できるソリューションの幅広さが、Freor 社の特徴といえるだろう。
R290プラグインショーケースがスタンダードな選択肢と化しつつある日本において、ウォーターループは新たな「市場開拓」の可能性を秘めている。2023 年は、同システムの1 例目が生まれ、日本における「ウォーターループ元年」となるのか。