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認知拡大から販促へアクセルを踏む ダイキン工業株式会社【SMTS 2023・HCJ 2023】

2021年6月15日、ダイキンはAHT社のR290内蔵ショーケースを「ダイキンブランド」として発売すると発表。初年度は製品の認知拡大に努めてきた同社だが、昨年からは本格的にエンドユーザーに納入を進めている。「HCJ 2023」「SMTS 2023」では、主力となる定番シリーズの他、より視認性を向上させた新機種も展示。省エネ性と取り回しのよさを武器に、さらなる販売拡大を目指す。

2022年で大きく躍進

ダイキンのプラグインショーケースは、都市名を冠する製品名が特徴だ。「PARIS」「MILANO」「SINGAPORE」「MANHATTAN」が定番となるシリーズ機種であり、「HCJ 2023」「SMTS 2023」では、新商品として昨年秋に追加された「MONTREAL SLIM」が展示された。サイズは他のシリーズと大きな差はないが、デザインは一新されている。壁面部分の一部がガラス張りとなり、横からの商品の視認性が向上した。「MONTREAL SLIM」の発売により、ダイキンは現在5 種類のプラグインショーケースを展開させている。この中で、「PATIS」「SINGAPORE」はベーシックなタイプとして、エンドユーザーからの人気が高い。

 

各種ショーケースのコンセプトとして、特に注目されているのは「省エネ性能」だ。電気代の高騰で苦しむエンドユーザーにとって、ダイキンの全機種扉付きのショーケースは、圧倒的な省エネ性能という点で大いに支持されているという。

 

長年ダイキンが発売している、冷凍ストッカーとの組み合わせという提案も進めている。冷凍ストッカーは150L~750Lまでの合計7種類あり、400LクラスまではR600a、500L以上はR290を採用している。店内側は「PARIS」「MILANO」などのプラグインショーケースを、バックヤード側は冷凍ストッカーという形で、既存商品と合わせてエンドユーザーの売り場づくりをサポートする。

 

プラグインショーケースの販売を発表して以来、市場での認知拡大に努めてきた同社だが、2022年は大きく販売台数を伸ばした。特に大きな採用事例となったのが、2022年8月にイオンリテール株式会社が千葉県浦安市の「イオンスタイル新浦安MONA」内にてオープンした、日本最大級の1,500品目の冷凍食品を取り揃えるフローズンショップ「@FROZEN」である。ここでは、R290プラグインショーケースが56 台採用された。本件をきっかけに、関東圏にとどまらず、全国のスーパーマーケットからの問い合わせが増えている。

 

スーパーマーケット以外でも、ホームセンターやホテル、飲食店、ベーカリーショップなどからも引き合いがあるという。特にホテルや飲食店などの事業者は、中食需要の増加に伴うテイクアウト事業の強化という観点で、ダイキンのプラグインショーケースに注目する。省エネ性はもちろんだが、電源さえ用意すればすぐに使えるという高い「省施工性」と、各種補助金によってHFCのショーケースと遜色ないレベルまでイニシャルコストを低減できるという点から、支持を集めているようだ。

 

その結果、2022年度は販売台数を大きく伸ばす結果となった。2023年度以降の店舗への納入計画や問い合わせも順調に増えており、今後「@FROZEN」のような実績を継続して積み重ねることができれば、これまで以上の台数の出荷を期待できるだろう。

 

昨年から参考出展として展示するリーチインショーケース「KALEA」に関しては、国内のガイドラインに沿った安全基準への対応(ショーケース内の警報機の設置など)で、もう少し準備が必要だ。別置型ではなくプラグインタイプによる、リーチインショーケースの自然冷媒化は、小売店舗の自然冷媒促進を大きく前へ進めることになるだろう。この領域にダイキンがどう踏み込むのか、非常に楽しみだ。

【参考】2023年特別号『アクセレレート・ジャパン』