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Sinop、第2世代CO2ヒートポンプを「Chillventa 2022」にて展示

2022年10月11日~13日にドイツ・ニュルンベルクで開催される「Chillventa 2022」にて、チェコのメーカーSinopが、冷媒にCO2を初めて使用した第2世代のヒートポンプ「TripleAqua」を展示した。

 

「TripleAqua」の発明者であるオランダのメンノ・ヴァン・デル・ホフ氏は、ATMOsphereが運営するR744.comの取材に対して、同ヒートポンプは中・大規模な住宅や商業施設に暖房、冷却、温水を提供するために設計されていると説明。新規設置・機器更新両方に適したソリューションだと付け加えた。

 

SinopはChillventaにおいて、ヒートポンプの需要が高まる中、欧州の販売とサービスをサポートするパートナーとの提携を目指しているという。同製品は、45~500kWまでの暖房能力を備えている。「TripleAqua」は、暖房用として28℃から50℃、衛生用温水として80℃以上、冷房用として7℃から12℃の範囲の流水温度を供給することが可能だ。戻り水の温度は、常に建物の平均的な室温となっている。

 

「TripleAqua」は、暖房と冷房を提供するだけでなく、生成されたエネルギーを直接使用できない場合、余剰の熱と冷却を外部の「充電バッファ」に蓄えることができる。この機能を利用し、電気料金の安い時間帯に冷暖房や温水を生産・貯蔵することも可能だ。

斬新なデザイン

TripleAquaには、従来のヒートポンプとは異なるいくつかの設計要素があり、その結果、エネルギー消費量を最大50%(テストデータより)、設置コストを25%削減できる計算だとヴァン・デル・ホフ氏は述べる。

 

従来のヒートポンプは、冷媒の流れを逆にして冷房または暖房を行うのに対して、「TripleAqua」は3つの独立した熱交換器を備え、システムの効率とユーザーの要求を最適化する。ヴァン・デル・ホフ氏は、同ユニットのプレート式熱交換器は常に最適化された向流状態を保っており、CO2に対する優れたSCOP(季節別成績係数)とTER(総合エネルギー効率)を発揮すると説明する。

 

「TripleAqua」は、従来4本あった配管を3本にすることで、配管と設置に必要な労力を25%削減できたという。ちなみに、1本は温水、もう1本は冷水、3本目はコンプレッサーユニットに水を戻す配管だ。

過去に受賞歴

2014年に特許を取得した「TripleAqua」の初代モデルは、冷媒にプロパンとプロペン(R1270)の混合物であるプロパエン(R433A)を使用。発売開始から数年のうちに、再生可能な暖房と冷房に関する欧州技術革新プラットフォーム(RHC-ETIP)の最も革新的なプロジェクトやAccelerate Europe Person of the Year賞(いずれも2017年)など、製品の革新性を評価する数々の賞を受賞(Accelerate Europeは、R744.comの発行元であるATMOsphereが制作したものである)。

 

「TripleAqua」への関心は高かったものの、市場はまだこの製品への準備が整っていなかったとヴァン・デル・ホフ氏は説明。ヒートポンプの認知度は比較的低く、ヒートポンプ用の自然冷媒も当時は非常に新しいものだった。しかし、欧州ではヒートポンプと自然冷媒の需要が大きく伸びており、第2世代のTripleAquaヒートポンプシステムを発売する絶好のタイミングだと氏は考えている。

 

冷媒をCO2に変更したことに加え、新世代は現在の建築デザインのトレンドに合わせ、高さを1.5m以下に抑えた小型化も実現。現在は「TripleAqua」の高温対応機種も開発中だ。この製品は、大規模な住宅の改修プロジェクト向けに設計されており、45℃から75℃以上の水温を必要とする化石燃料ベースの暖房システムに取って代わるものとして開発が進められている。

 

Sinopはヒートポンプなどの需要拡大に対応するため、チェコ国内に4番目の製造工場を投資。2023年に開設する予定だ。

参考

Second-Generation TripleAqua Heat Pump with CO2 to be Launched at Chillventa 2022
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

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