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【ATMO APAC Summit 2022】パナソニック、新体制でCO2のさらなる拡大へ【業界リーダーセッション】

2022年6月27日、ATMOsphere主催の国際会議「ATMOsphere(ATMO) APAC Summit 2022」の一日目となるイベントが、東京コンファレンスセンター・品川にて開催された。二日間の日程で開催される本イベントにおいて、一日目は日本市場に焦点を当てた各種セッションが展開された。

 

「業界リーダーセッション」に登壇したのは、本イベントのプラチナスポンサーであるパナソニック株式会社のコールドチェーンソリューションズ社、コールドチェーン事業部 冷凍機システム総括 兼 冷凍機・物流カテゴリーリーダーの千葉 唯史氏である。2022年より体制を移行した同社の、これからのグローバル展開・環境ビジョンが発表された。

コールドチェーンソリューションズ社発足

パナソニックグループは、2022年4月より事業会社制へと移行。これに先駆けて、昨年10月1日にコールドチェーンソリューションズ社を発足した。新生コールドチェーンソリューションズ社は、国内のコールドチェーン事業のほか、米国のHussmanを迎え、冷熱・省エネ・環境技術で社会生活の食生活に新たなソリューションを提供する、グローバルリーディングカンパニーを目指している。

 

同社はスーパーマーケットやコンビニエンスストアのショーケース、冷凍機、レストランやホテルで使用する業務用映像冷蔵庫、各種飲料をサービスをするディスペンサー。冷凍倉庫や物流の現場で使われる製氷機、ショーケースやスマートロッカーなど幅広い領域の機器を提供している。

 

コールドチェーン事業は群馬県に拠点を置き、冷凍機やショーケース、他商品を製造している。アジアでは、日本のほかに3拠点の工場がある。北米にはパナソニックの工場が2拠点あるほか、Hussmanの工場が4拠点あり、Hussmanはオーストラリアニュージーランドにも拠点を展開する。これらの工場で生産された冷凍機やショーケースを、世界各地の販売・エンジニアリング拠点よりエンドユーザーへ届けている。

 

パナソニックは、コールドチェーン事業を「Farm to Fork」、つまり産地から食卓までを低温で繋ぎ、食の安心安全をお届けすることで社会に貢献する事業と定義している。その中で、同社は地球温暖化の問題の解決に向けた取り組みを、最重要課題の一つとして捉えた上で、コールドチェーン事業においてもCO2冷媒をはじめとした自然冷媒への転換をグローバルで展開する。

パナソニック環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」

パナソニックグループは、自社の事業に伴う排出量の削減と社会におけるCO2排出量の削減に対する貢献度を、「Panasonic GREEN IMPACT」と命名。よりよい暮らしと持続可能な地球環境の両立に向けて、独自の目標を掲げて取り組んでいる。同社は2050年に向けて、現在の世界のCO2排出量の約1%、3億トンの削減インパクトを目指す。

 

パナソニックグループは、その幅広い事業領域において社会の省エネ化と再生可能エネルギーの普及に対して、自社で行うインパクト・社会へ貢献するインパクトを与えることで、脱炭素化を推し進めたい考えだ。その上で、同社はカーボンニューニュートラルに向けたCO2推進ロードマップを策定。

 

2025年に加重平均でGWP1500以下、2030年には代替フロンからCO2へシフトして、別置型冷凍機におきましてCO2冷媒の採用を100%実施していかなければならないと考えている(詳細は記事最後のスライドにて記載)。2022年6月時点での別置型冷凍機のCO2化率は約25%だが、着実にこの数字は増えていると千葉氏は話す。

 

このロードマップ達成に向けて、パナソニックはこれまで行ってきたCO2冷凍機のラインナップ拡充に加え、冷蔵冷凍倉庫向け冷凍機のラインナップの強化、コンビニエンスストアの中〜小型の冷凍機のラインナップ強化。小売店の新店・改装店双方へのCO2冷凍機の導入推進。そして、グローバルにおけるCO2冷媒の啓蒙、そして普及活動に取り組んでいく。

さらなるグローバル展開に向けて

パナソニックは2010年の上市以来、CO2冷凍機を堅実に出荷実績を積み上げてきた。2022年3月時点で、同社は累計5300物件に約1万5,500台のトランスクリティカル(TC)CO2冷凍機を納めている。世界的に見ても、この導入実績はトップレベルだ。

 

12年間、パナソニックはエンドユーザーとともに施工ノウハウを含むCO2冷凍機の技術を磨き上げてきた。2022年も多くの引き合いがあり、日本国内にとどまらずグローバルに販売を伸ばしている。

 

パナソニックは日本、中国、北米のグローバル製造拠点を通じて、CO2冷凍機の開発・生産を行い、パナソニックグループの総合力で日本のみならず、北米やオセアニアの市場を開拓してきた。CO2技術の本場・欧州市場では、現地のパートナーの協力を借りて施工技術のブラッシュアップに取り組んできたという。海外の市場でも、これまでに約1,700台のパナソニック製CO2冷凍機が導入されている。今年は前年の倍以上のペースで、各国からの引き合いがあると千葉氏は話す。

 

パナソニックは家電から空調、空室、電気設備、コールドチェーンまで多様な暮らし空間に対応し、お客様の暮らしの質を豊かにすることを目指す。

 

グループ全体で取り組む「PANASONICGREENIMPACT」をはじめ、世界を取り巻く社会課題にも、正面から向き合いながらそれを成し遂げる。それこそがパナソニックの経営理念であり、真に暮らしの質を豊かにすることにつながると、千葉氏は述べた。

 

お客様は一人一人にとっての暮らしを支えるベストパートナーとして、人に社会に、そして地球に健やかさを実現するために取り組む。私たちのパナソニックの挑戦にぜひご期待をいただきたいと存じます。

パナソニック株式会社 コールドチェーンソリューションズ社コールドチェーン事業部 冷凍機・物流カテゴリーリーダー兼 冷凍機システム総括 千葉 唯史氏

参考

「ATMO APAC Summit 2022」

パナソニック株式会社 コールドチェーンソリューションズ社コールドチェーン事業部 冷凍機・物流カテゴリーリーダー兼 冷凍機システム総括 千葉 唯史氏 発表資料