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豪州&ニュージーランド

「世界初」農場でのCO2牛乳冷却システムを新企業が発表

自然冷媒のスペシャリストであるCold Energy Technology(CET)社(本社:ニュージーランド・オークランド)は、乳業業界で「世界初」となる農場でのCO2牛乳冷却システム「Eco2Dairy」を発表した。取締役のマシュー・ダービー氏は、「Eco2Dairy」は農場のソリューションを、より省エネかつ環境配慮のものへ変革できると語る。

酪農家の未来

ニュージーランドには約11,500の酪農場があり、巨大な酪農業が営まれている。CET社の発表によると、これらすべての酪農場に「Eco2Dairy」を設置した場合、年間の温室効果ガス排出量を263,250t-CO2削減できる可能性があるという。これは、ニュージーランドの排出削減目標の3.7%に相当する数字である。CET社はさらに、エネルギー消費量の削減量は年間325GWh(国全体のエネルギー使用量の0.85%に相当)になると試算。長期的目線で、酪農家のコスト削減に大きく寄与すると同社は説明する。

 

「Eco2Dairy」は、牛乳をほぼ瞬時に2℃まで冷却できる特許技術を使用、熱回収機能も備えているため、農場で温水も作成可能だ。同システムを採用した酪農家のと酪農家のジュディ・ガーショー氏は、 「Eco2Dairy」で37℃の牛乳が瞬時に1.8℃まで冷却されると説明。バクテリアの成長する時間が極めて少なくなり、衛生面・品質面にも大きく影響すると話す。

 

牛乳の冷却速度に優れているということは、基準値を下回る製品の廃棄の削減にもつながり、酪農家の利益を守ることにもつながるとCET社は説明。80℃の温水も供給するシステムに、ガーショー氏は高く評価している。

 

私は冷たい牛乳が大好きなので、温水供給はあくまでおまけです。とはいえ、両システムによって工場の衛生面は最高の状態が保たれています。デメリットは何ひとつありません

酪農家 ジュディ・ガーショー氏

次の展開は?

「Eco2Dairy」開発は、ダービー氏が2010年に友人の酪農場を訪問したことがきっかけで始まった。他の多くの酪農家と同様に、同氏の友人も従来の冷却システムを使用。故障が相次ぎ、大量のミルクを廃棄していたという。持続可能な設計のシステムでもなく、運用コストが重くのしかかっていた。

 

CET社は、2025年までにニュージーランドの酪農場の2.5%に、「Eco2Dairy」を普及させることを目標としている。販売計画強化、研究開発プロジェクトの推進、運転資金の増強へ積極的に資金を投じ、ニュージーランド国内および海外の酪農家への販売拡大を支援したい考えだ。

参考

New Zealand Company Introduces ‘World’s First’ On-Farm CO2 Milk Cooling

原著者:タイン・スタウスホルム

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