イタリアのSIAD社は、液体CO2の蒸発を利用した、新たな冷蔵輸送システム「COOOL FreeToGo」を開発。2021年11月3〜5日でイタリア・ボローニャにて開催された「REFRIGERA2021」で展示され、一般公開された。これ以外でも、欧州でさまざまな冷蔵輸送システムにCO2が採用されている。
住宅地への配送にも有利
「COOOL FreeToGo」は、温度管理された車内でコールドチェーンの維持を可能にすると、SIAD社ウェブサイトにて紹介されている。それによれば、同システムは生鮮食品・冷凍食品の両方を対象に、単温と二温の両方で運用可能とのことだ。
「COOOL FreeToGo」は、蒸気圧縮システムや共晶板を使用した従来の冷蔵輸送システムとは異なり、コンプレッサーを使用せずCO2の蒸発によって作動する。CO2は有機物から発生するバイオガスからバイオメタンを生成する過程で得られるため、CO2排出量はゼロだ。車内の酸素不足のリスクもないという。動作時に騒音を出さないため、住宅地への配送にも向いている。
「COOOL FreeToGo」は構成部品が少ないため、日常的なメンテナンスも最小限に抑えられる設計となっている。イタリアの冷蔵専門サイト『Zerosottozero』によると、このシステムはエネルギーコストがほとんどゼロであるという。
SIAD社によると、この特許出願中のシステムのその他の特徴は以下の通りだ。
- 冷却速度が従来のシステムに比べて10倍以上高い。
- システムの動作は車両のトラクションとは独立しているため、エンジンが停止していても動作可能である。
- 動作時に騒音が発生しない。
- 複数の車両や等温ボックスにも適応可能である。
輸送用冷凍機でTCCO2採用
他にも、Carrier Transicold社の「NaturaLINE」はトランスクリティカル(TC)CO2を使用した、海上輸送での冷蔵システムだ。2018年、スイス・ジュネーブに本拠を置くMediterranean Shipping Company(MSC)社は、Carrier Transicold社の「NaturaLINE」で冷やした約2,000個のコンテナのリースを開始したと発表している。
2016年には、英国のスーパーマーケットチェーンであるSainsbury社が、トラック輸送用に設計されたCarrier Transicold社のCO2システムで稼働するトラックトレーラー用の試作冷蔵ユニットをテストしている。
参考
New Refrigerated Transport System Runs on Liquid CO2 Evaporation
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
原著者:トマス・トレビザン
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