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米EPAが「GreenChill Awards for Retailers」を発表

アメリカ環境保護庁(EPA)の「GreenChill Advanced Refrigeration Partnership」が、9月9日にオンラインで発表した「Annual Recognition Awards」に、自然冷媒を積極採用する多くの企業や、冷媒漏えいに取り組む企業が選出された。

受賞した企業たち

2007年に開始された同プログラムは、EPAと主に米国の食品小売業者とがパートナーシップを形成し、食品小売業者が冷媒漏えいの削減、自然冷媒システムを含む気候変動に配慮した冷蔵システムへの移行の支援を目的としている。同パートナーシップは、アメリカ全体の約1/3にあたる12,900店舗を運営する、28の食品小売業者で構成されている。

 

「GreenChill店舗認証プログラム」は、GreenChillに参加しているか否かにかかわらず、漏れや充電の要件を満たし、気候変動に配慮した冷媒を使用している個々の店舗を認証するものである。

 

2021年は、2020年7月1日から2021年6月30日までの間に、最も多くのGreenChill認証店舗を運営した食品小売企業に与えられる「認証優秀賞」を、米国イリノイ州バタビアに本社を置くALDI US社が受賞した。同社は期間内に424の店舗で認証を得て、そのすべてが最高レベルの認証である「プラチナ」に認められている。これは、ALDI USが運営するGreenChill認証店舗(662店)の約2/3に相当する。ALDI USが「Certification Excellence」を受賞するのは、今年で3回目だ。

 

また、ALDI US社はカリフォルニア州とニューヨーク州を中心に5年以上連続して再認証を受けている31店舗を運営しており、GreenChillの小売パートナーの中で最も多くの店舗が再認証を受けていることから、GreenChillの「店舗再認証優秀賞」を受賞した。

 

同社の認定店舗の多くは、トランスクリティカル(TC)CO2を採用。加えて、R290冷凍庫の使用例も見られる。ドイツの大手小売企業ALDI Süd社の一部門であるALDI US社は、6月に米国のスーパーマーケットチェーンの中で最も多い423店舗にTCCO2システムを導入したと報告。さらに2店舗では、結露熱を除去するためのグリコールループを備えたR290セミプラグインケースを、1店舗ではR290空冷式プラグインケースを導入している。

 

アメリカ国内36州で2,000以上の店舗を展開するALDI US社は、新店舗や改装した店舗で自然冷媒システムの展開を続けている。

 

ジョージア州コンヤーズを拠点とするHillphoenix社は、2020年7月1日~2021年6月30日に認証を受けた店舗に最も多くのシステムを供給したメーカーとして、Store Certification Excellence賞を受賞。ALDI US社によると、Hillphoenix社は423台のTCCO2システムのうち、約380台をALDI USに提供している。Hillphoenixがこの賞を受賞するのは、今年で10年目となる。

 

また「店舗再認証優秀賞」を受賞したのは、アリゾナ州フェニックスに本社を置くSprouts Farmers Market社で、少なくとも5年連続で再認証を受けている21店舗を運営している。GreenChillの授賞式に登壇した同社のサステナビリティ・マネージャー、ジャスティン・ケーサー氏によると、全米23州で365店舗を展開するSprouts社は、カリフォルニア州の新店舗すべてに超臨界CO2を導入しているという。

初のR290認証店舗

Grocery Outlet社(本社:カリフォルニア州エメリービル)は、カノガパークにある店舗でストアリーダーシップ賞を受賞しました。冷蔵室にR290のみを使用した店舗としては、初のGreenChill認証店舗となった。

 

Grocery Outlet社の店舗は、オーナーが企業とパートナーを組むオーナー・オペレーターモデルで運営されています。アメリカ西海岸を中心に中部大西洋やニューイングランド地方などで、合計400以上の店舗が運営され、同社は冷蔵システムの設計とモニタリングを行っている。

 

授賞式に登壇したグ冷凍技術・エネルギー・サステナビリティ担当ディレクターのフランク・デイビス氏によると、現在までに4つの Grocery Outlet社の店舗の販売エリア内にて、R290ケースが使用されており、5つ目の店舗が東海岸でオープンの準備をしているという。ショーケースはAHT社が提供しており、順調に稼働している。デイビス氏は、さらにR290採用店舗を増やすか前向きに検討中と語った。

 

ケースは1つの回路のR290充填量が150g以下であり、最大12枚のドアを持つ大型ケースでは最大3つの回路を使用する。ケースには凝縮熱を除去するためにウォーターループシステムが採用されており、屋根に取り付けられた流体冷却器と連動する。

 

Grocery Outlet社は、カリフォルニア州のイースト・サクラメントの店舗でTCCO2システムを採用。2022年にカリフォルニア州で冷媒規制の強化が予定されていることから、同社は同州の新店舗ではCO2を「当面の仕様」としている。断熱ガス冷却器も使用されているが、気候が涼しいために必要のない店舗では使用しない。温暖気候の店舗では、エジェクターや並列圧縮といった技術の採用も検討する。

 

Grocery Outlet社 の店舗の多くは、北カリフォルニアの小さな町にあり、業者のリソースも限られている。これらの店舗でTCCO2システムを扱うための、適切な訓練を受けた技術者を探すのに苦労しているとデイビス氏は言う。そのため、技術的トレーニングは事業運営でも高い優先順位に置かれている。

 

Grocery Outlet社は、予測分析ツールを使用して冷媒漏えいが大きくなる前に、状況把握に努めている。今年北カリフォルニアのある店舗では、Axiom Cloud社のツールによりHFC冷媒の小さな漏れを検出することができ、同社は推定4,790米ドルを節約することができた。

冷媒漏えい削減にも表彰

GreenChillプログラムでは、2020年に冷媒の漏れを削減した小売業者への表彰も(The Superior Goal Achievement award、優れた目標達成の賞)も行っている。2021年は下記の企業が受賞した。

  • Cook County Whole Foods Coop社
  • Food Lion社
  • Grocery Outlet社
  • Hy-Vee社
  • Meijer社
  • Raley’s社
  • Sprouts Farmers Market and Target社

より積極的な冷媒漏えい削減目標を達成した企業に贈られる賞「Exceptional Goal Achievement award(特に優れた目標達成賞」には、Hy-Vee社とMeijer社が選ばれた。

参考

Natural Refrigerant Systems Cited in U.S. EPA GreenChill Awards for Retailers

原著者:マイケル・ギャリー

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