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MENA4カ国、「Cool Up」プログラムで自然冷媒採用を推進

2027年1月まで6年間にかけて行われる「Cool Up」プログラムにて、エジプト、ヨルダン、レバノン、トルコは冷房システムをアップグレードする取り組みの一環として、自然冷媒を選択した。

キガリ改正も支援

Cool Up」プログラムは、ドイツ環境省を通じて国際気候イニシアチブが出資している。同発表は10月27日に開催された「COP12/MOP33」のサイドイベントで、ドイツ環境省のエリザベート・ムンザート代表が語ったメッセージのひとつである。

 

このプロジェクトは、持続可能な冷却技術や手法の普及に大きく貢献する可能性を秘めていると、ムンザート氏は述べる。さらに、ムンザート氏は「ドイツ環境省は、このプログラムの実施によって、自然冷媒と野心的なエネルギー効率基準が将来の選択となることを楽しみにしています」と語った。「Cool Up」プログラムは、家庭用および商業用の冷凍・空調を対象としており、エネルギー需要を削減し、Fガスの安全な処理に貢献することを目的としている。

 

このプログラムに参加している4カ国は、冷房需要が急速に増加しており、エネルギー分野における構造的な課題を抱えている。その結果、冷房・冷凍分野におけるエネルギー効率と自然冷媒の使用を大幅に向上させる可能性を秘めていると、ムンザートは説明する。

 

「Cool Up」プログラムは、いくつかのニーズと目的をカバーしているという。政治的には、キガリ改正案のHFC段階的削減のアジェンダとパリ協定の気候目標をサポート。資金面では、パートナー国での持続可能な冷却アプリケーションを促進するためのモデル開発を推進する。技術面では、自然冷媒やエネルギー効率の高いシステムの使用を可能にし、高まる冷房需要の緩和に貢献することとなる。なお、2021年11月現在でヨルダン、レバノン、トルコはキガリ改正を批准しているが、エジプトは批准していない。

 

「Cool Up」プログラムの主要パートナーであるサステナビリティコンサルタント会社、Guidehouse社のアンドレア・ハーメリンク氏は、11月4日に開催されたCOP26気候変動枠組条約締約国会議のEUサイドイベントで、「このプロジェクトは、MENA(中東・北アフリカ)地域におけるモントリオール議定書キガリ改正の急速な普及と実施の加速化を支援する」と語った。

 

ハーメリンク氏は、HFCは地球温暖化に0.35〜0.5℃の影響を与えるという研究結果があることを指摘し、もしもHFCの段階的削減や段階的廃止が迅速に行われれば、1.5℃気候変動の目標をサポートする上で大きな影響を与えることになるだろうと述べた。同プログラムで得られた知見は、MENA地域全体で利用できるようになる予定だ。

参考

NatRefs Are Choice of Four-Country Cool Up Initiative

原著者:シルシャー・アメルハイル

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