2021年5月25〜27日に開催された「Green Cooling Summit」の基調講演にて、ノルウェー科学技術大学(NTNU)のエネルギー・プロセスエンジニアリング学科 冷凍学教授、アーミン・ハフナー氏は自然冷媒機器への投資を加速できるよう、公的な資金援助を増やすべきだと主張した。
「グリーン・クーリングを実現できるのは自然冷媒だけである」
「Green Cooling Summit」は、ドイツ環境庁(UBA)、ドイツ国際協力機構(GIZ)、ドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全省(BMU)の主催により開催。長年にわたりCO2冷凍技術やヒートポンプ技術の研究を行ってきたハフナー氏は、グリーン・クーリングへの投資は、エネルギー効率の高い新しいNWF(自然冷媒)システムへの資本支出(CapEx)が多少高くなることで、しばしば停滞してしまうことがあると指摘。
その上で、ハフナー氏は世界銀行、多国間基金、各国政府の資金調達事業は、自然冷媒機器の投資をするエンドユーザの負担する初期費用を、手頃なローンでカバーできるよう支援すべきであると主張する。
基調講演でハフナー氏は、キガリ改正に基づく世界的なHFCの段階的削減のためには、自然冷媒が最良の選択肢であると話す。グリーン・クーリングを実現する各種機器の早期導入を成功させるためには、トレーニングと知識の伝達に伴うエンドユーザーの意識改革が重要な要素だとした。
エンドユーザーは、自分がどのような機器を注文しているのかを認識し、製品安全データシート(MSDS)を検索して機器の季節別のエネルギー需要とGWPを知る必要がある。さらに、冷却機器メーカーはエンドユーザーに対し、機器のGWPよりも製造時・分解時の副産物を含む環境影響データを提供することを義務付けるべきだと述べる。