三菱重工冷熱株式会社が取り扱うCO2コンデンシングユニット「C-puzzle」シリーズ。その大容量機である「C-puzzle80」の初号機出荷式典が、2021年11月24日に同社大和事業所にて開催された。記念すべき初の出荷先は、株式会社ニチレイ・ロジスティクス九州の「箱崎埠頭物流センター」である(10~40馬力は三菱重工サーマルシステムズ株式会社製)
エンドユーザーに優しい設計と、多用途への対応
冷凍設備を含む総合ソリューションを支える、三菱重工冷熱。同社はCO2コンデンシングユニット「C-puzzle」と、アンモニア/CO2自然冷媒冷却システム「C-LTS」シリーズの2機種にて、幅広い冷媒・冷却ニーズに対応したソリューションを展開する。「C-puzzle80」は大容量化需要に応え三菱重工冷熱が新開発したものであり、2021年夏から販売が開始された。
C-puzzle80(型式:CSTS8001ML)は、蒸発温度が-25℃~-45℃、外気温が-15℃~43℃と幅広い使用範囲を持つ。2022年には蒸発温度-5℃~-45℃と、さらに用途を拡大したバージョン(型式:CSTS8001MH)の発売を予定しているという。
大型機開発にあたっては、世界初の2段圧縮式「スクロータリーコンプレッサ」の大容量化も実施。同じく三菱重工グループ企業である三菱重工サーマルシステムズ株式会社によって新開発された、40馬力コンプレッサーを2台搭載した。性能面への配慮だけでなく、コンパクトで静音、オーバーホール不要の設計により、納入先のメンテナンスの負担が大きく軽減されているのが特長だ。

長年の連携、自然冷媒でも発揮
「C-puzzle80」初の納入先となったのは、ニチレイ・ロジスティクス九州が運営する箱崎埠頭物流センターの1号棟である。ユニットは合計3台、いずれも1号棟屋上に置かれ、合計3系統で4階までの各階に設置された冷却器と接続されている。「C-puzzle80」の配管はガスクーラーとの高低差20m、配管長100mまで可能ということで、設置自由度と施工性の高さもエンドユーザーに優しい設計だ。
株式会社ニチレイロジグループ本社は、2010年度より冷蔵庫冷却設備には自然冷媒を採用する方針を取っている。近年の気候変動問題の深刻化に合わせ、その動きをさらに加速。2030年までに、海外の拠点も含め自然冷媒化を75%以上まで普及させる取り組みを推進している。
箱崎埠頭物流センターでは、三菱重工冷熱のR22を採用した「LTS」シリーズ冷凍機を長年使用してきた。老朽化に伴い自然冷媒機器を模索していたが、設置場所の都合により、アンモニア/CO2機器の設置を断念。三菱重工冷熱よりコンパクトかつ空冷式の「C-puzzle」シリーズの紹介を受け、検討の末導入を決定したという。スペース上の問題に加え、現場でのメンテナンスの負担が軽微であること、また同社の実績・信頼性を考慮して今回の決定へと至った。
ニチレイロジグループ、三菱重工冷熱は前身である株式会社東洋製作所の頃から、フロン機の納入実績でタッグを組んできた。現在、三菱重工冷熱は製造・販売する自然冷媒機器の割合が8割を超え、ニチレイロジグループは現在保有設備のうち、年50,000t規模を自然冷媒化する計画を立てている。
二人三脚のような関係性で、発展を続ける両社。その取り組みが、自然冷媒化でもおおいに感じ取ることのできる出荷式典だった。
出荷式典挨拶より
三菱重工冷熱株式会社 代表取締役社長 菊地 剛彦氏

ニチレイロジグループ様は、株式会社東洋製作所の時代から多くの冷却設備をご用命いただいており、大変感謝しております。
冷凍倉庫・冷蔵倉庫業界で脱フロン化、自然冷媒化のトレンドが出て以来、ここにある「C-puzzle80」のように自然冷媒機器へと代替わりしています。
お客様からのご要望である大容量化に際しては、三菱重工の持つ回転体開発技術を応用し、40馬力のコンプレッサー2機を搭載して大型化を図りました。10馬力~80馬力まで、自然冷媒ユニットの商品ラインナップを広げることにより、ニチレイロジグループ様の自然冷媒化に、少しでもお役に立てればと思っております。
ニチレイロジグループ様は、自然冷媒化のリーダー的存在と思っております。そこに私達が納入させていただくことは、倉庫業界にインパクトを与えるとともに、私達も業界に少しでも貢献ができる という自負を持てることを、大変嬉しく思っております。
三菱重工冷熱株式会社 取締役エンジニアリング事業本部 本部長 髭分 美次氏

今日、全世界で環境問題について語られない日はありません。三菱重工サーマルシステムズ、三菱重工冷熱の「世界を熱で過ごしやすく」というスローガンのもと、スタッフを結集して情熱を注ぎ、世に送り出すCO2冷凍機の真打ち。それが「C-puzzle80」だと思っております。
今後もお客様の多種多様なニーズに応えるため、最新型の「C-LTS」シリーズを含めラインナップを拡充し、システム全体の最適運転、保守保全、設備運用面の充実を図って参りたいと思います。ニチレイグループ様をはじめ、冷熱にかかわるすべてのステークホルダー様に貢献することが、当社の使命であると肝に命じるところでございます。
株式会社ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング 代表取締役社長 井藤 勉氏

三菱重工冷熱様の冷凍機が、長期に渡り現役で活躍しているのは、御社の冷凍機の確かな性能と信頼性、安定性のみならず、導入いただいた後の丁寧なアフターメンテナンスがあるからと感じております。本当に感謝しております。
箱崎埠頭物流センターに納入される「C-puzzle80」は初号機ということで、光栄なことと思っておりますし、正直とても楽しみにしております。
今般、社会問題である地球温暖化抑制にむけ、ニチレイロジグループが自然冷媒化をますます強力に推進してまいろうと思っております。
今日の日を船出といたしまして、重工冷熱様の叡智と我々の運用実績を重ね磨きまして、これからの世代の新しい自然冷媒の主力機器を、お互いに切磋琢磨して育てていきたいと思います。