近年、CO2コンデンシングユニット「C-puzzle」のラインナップ拡充を進めてきた、三菱重工冷熱株式会社。10馬力、20馬力のラインナップに加え、2020年には40馬力を取り扱い開始。2021年には大容量モデルの80馬力タイプ(通称「シーエイティ」)を発売し話題となった。シリーズの累計台数は、2021年度で1,000台を突破。同社は今後、各機種の拡販だけでなく、さらなるサービスの充実を進めていく。
「C-puzzle」が累計1,000台突破
同社の「C-puzzle」シリーズは、三菱重工サーマルシステムズ株式会社で開発、生産される独自のスクロータリー二段圧縮機を搭載し、高効率化・低騒音化を実現。ガスクーラーと圧縮機ユニットを一体化させた設計により、配管工事の負担低減にも配慮されているのが特徴だ。

同機種の発売は2017年にスタートし、2021年度までの累計販売台数は、三菱重工冷熱が見込みとして試算した1,000台を突破。エンジニアリング事業本部 低温食品プラント部部長の平岡 禎明氏によれば、シリーズとしては40馬力が徐々に増えてきているが、20馬力のタイプがシェアとして多い傾向にあるという。
同社が扱う自然冷媒システムには、CO2/NH3冷却システムの「C-LTS」もある。24kW〜125kWと幅広いラインナップがある「C-LTS」は、大都市圏では100kW、125kWなど大型機、地方では37kW、45kWなど比較的小型機の需要がそれぞれ高い。
当初、「C-puzzle」販売によって「C-LTS」のシェアは減少すると予測されていた。平岡氏によれば、今期の「C-LTS」の販売台数は前年とほぼ変わらなかったという。むしろ、CO2コンデンシングユニットを取り扱うことにより、市場の裾野を広げることができたと平岡氏は回答した。

安定運用、安定供給、最適化で地盤固める
2021年度の市場動向だが、依然として既設冷蔵倉庫、物流センターのリニューアル需要が多かったという。関東圏内で進められてきたリニューアルが徐々に完了し、関西、九州と地方にその傾向が広がっているという印象だ。一方で、2万5千トン以上の施設の新築に伴い、大容量システムの採用が増えていると平岡氏は説明する。
大容量化需要、例えば冷蔵倉庫、製氷プラントといった施設に対して、三菱重工冷熱としては「C-puzzle80」を広く販売していきたい考えだ。同機種の初の出荷先となったのは、株式会社ニチレイ・ロジスティクス九州の「箱崎埠頭物流センター」だが、2022年3月時点では、納入した3台とも順調に稼働している。今後訪れる夏場のデータも含め、安定的な稼働が可能と実証したうえで、「C-puzzle80」を拡販していきたいと平岡氏は語る。
それと並行し、三菱重工冷熱は機器の安定運用、安定供給も進めていきたい考えだ。近年新築されている倉庫は、人手不足の解消や業務効率化の一貫として、無人倉庫や自動ラックといった最新技術の活用が多く見られる。
当然、冷凍機にもメンテナンスコストを含め、人手がかからないシステム設計が求められる。同じく低温食品プラント部主席の芳井 隆嗣氏は、稼働時の手間を極力減らし、遠隔監視で事前に機器の異常を察知し、メンテナンス体制も整えるなど、エンドユーザーに寄り添ったサービスを充実させていくことが重要と語った。
エンドユーザーに対するシステムの最適化提案の精度を今後さらに高めていきたいという。エンドユーザーの機器の利用環境と実負荷に応じた、運転最適化によるシステムCOPの向上や、納入先の設備環境に応じて、「C-puzzle80」「C-LTS」の最適な組み合わせによるハイブリッド提案を、お客様のニーズに合わせ提案をしていく。三菱重工冷熱は、確かなデータに裏付けられた実績から、お客様に安全と安心したシステムをご提供し、環境と社会貢献に寄与すべくこれからも取り組んでいく。