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前川製作所、小容量アンモニアチラーを発表

株式会社前川製作所は、ドイツ・ニュルンベルクで開催された「Chilventa 2022」にて、屋外用アンモニアチラーの新製品「mCHILLER TAKA」の実機を展示した。同製品は、現在のトレンドである低容量炭化水素、HFO、HFCの各種チラーにも競合できる製品であると、欧州研究開発部門、北欧セールスマネージャーのクラウス・ウーデゴール氏は述べる。

 

「mCHILLER TAKA」は、準工業用途や商業用途の低容量需要に対応したコンパクトな空冷式低充電アンモニア冷凍機だ。このチラーは、データセンター、空調、プロセス冷却用に設計されており、天候に左右されない筐体により屋外での使用に適しており、施設内のスペースを最大限に活用できると前川製作所は説明している。

 

同ユニットには3つのサイズがあり、110~270kWの冷却能力に対応し、-12~12℃(10.4~53.6°F)の供給温度範囲を提供する。屋外用チラー市場は、HFCやプロパン(R290)などの炭化水素が主流だが、前川はアンモニアベースの代替品を市場に投入することに可能性を感じていたと、ウーデゴール氏はインタビューで述べた。

 

「以前は、アンモニアで500kW以下の冷却能力を持つシステムを製造するには、あまりにも高価なものでした。しかし今日の技術では、アンモニアでも160-180kW程度の冷却能力まで下げることができ、HFC、HFO、炭化水素に対して経済的な競争力を維持することができます 」(ウーデゴール氏)

 

ウーデゴール氏は、「Chillventa 2022」で新しいアンモニア室外機を展示している他のメーカーがいくつかあることにも言及。前川製作所の「mCHILLER TAKA」は、「正しい道を歩んでいる」と自信をのぞかせた。同社は現在、将来的に「mCHILLER TAKA」の大容量モデルの開発も検討中だという。

 

2021年に発売された、前川製作所のアンモニアチラー「mCHILLER」シリーズは、エネルギー効率、耐久性、シンプルさに重点を置いています。低チャージのアンモニアで高い安全性を実現している。同シリーズには「mCHILLER TAKA」のほか、最大1.35MWの冷却能力を持つ水冷式アンモニアチラー「mCHILLER FUGU」がある。

 

「自然冷媒という市場トレンドに乗れなければ、業界での成功は難しいでしょう。今、顧客が求めているのはCO2、炭化水素、アンモニア、空気、水のいずれかです。Mayekawa Nordic(前川製作所の海外拠点の一つ)の本拠地であるデンマークでは、HFOが問題外であることは間違いありません」

標準化された製品を求める傾向

市場を形成しているもう一つのトレンドは、顧客が製品の迅速な納入を求めることだと、ウーデゴール氏は述べている。「現在の市場ニーズは、“顧客がより早く製品を欲しがっている”傾向にあります。メーカー各社は今後、標準化された製品を在庫として持つ必要があるでしょう。また、新型コロナウイルス感染症がサプライチェーンに与えた影響―生産ストップや配送中断―を、最小限に抑えなくてはなりません」(ウーデゴール氏)

 

標準化された製品を提供することは、前川製作所にとってもコスト軽減につながると、ウーデゴール氏は話す。部品を大量購入し、顧客の注文に先駆けて標準モデルを組み立てることができるからだ。製品のカスタマイズも、お客様のニーズに合わせて少し手を加えれば済むことになる。製品標準化という新しいアプローチに対応するため、前川製品は現在、欧州の生産拠点を拡張し、需要の増加に対応するとともに倉庫を増設している。

参考

Mayekawa Introduces Low-Capacity Ammonia Chiller that Can Compete with HFO, HFC and Hydrocarbon Units
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

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