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国内最大規模のCO2冷凍冷蔵倉庫誕生

2019年8月29日、国分グループは大阪府茨木市に関西総合センターを開設した。センターの開所式には240社269名が出席し、関西エリアに誕生した新たな中核物流拠点の完成を祝った。国分グループにとって新物流体制の集大成とも呼べる同センターには、CO2冷凍機が大規模採用されたことも話題となっている。

 

文: 佐藤 智朗、岡部 玲奈

5カ所目となる自然冷媒採用拠点

国分グループ本社株式会社は、常温・冷蔵・冷凍すべての機能を合わせ持った三温度帯総合物流センターを全国に配置する「3OD+PLUS」という新たな物流コンセプトを掲げ、第9次〜第10次長期経営計画において、全国16か所に三温度総合センターの開設を計画した。今回開設した関西総合センターは、その計画の節目とも言える16カ所目の総合物流センターとなる。

 

延べ床面積は55,222m2、冷蔵庫9,252m2、冷凍庫は12,307m2と大規模なスペースを擁し、国分グループの関西エリアの中核物流拠点として、今後も市場規模の拡大が予想されている冷凍調理食品や主食的調理食品(おにぎり、お弁当等)を中心に、国内の多様なニーズに対応できる物流体制を整えていく考えだ。

 

センター内には冷凍食品を施設内で解凍し、チルド食品として出荷する加工業務、野菜のカット・袋詰め業務など流通加工機能も有し、総合的な小売業者の課題解決も図っている。また、関西総合センターは国分グループにとって、「5カ所目」の自然冷媒機器を採用した物流センターでもある。本拠点には日本熱源システム株式会社のCO2冷凍機をC級15台、F 級9台の合計24台設置。拠点自体の規模はもちろん、CO2冷媒の冷凍冷蔵倉庫としても国内最大規模を誇ることとなった。

センター屋上に設置された 日本熱源システム製CO2冷凍機「スーパーグリーン」

同社にとっても大きなチャレンジとなった今回の導入に対して、大きな課題となったのはやはりイニシャルコスだったという。しかしながら、環境面への配慮やフロン規制への対応という訂正的側面、そしてイニシャルコスト、ランニングコスト(水道光熱費、メンテナンスコスト)等を加味したトータルコストの比較という定量的側面での検討を重ね、今回の導入に踏み切った。 

物流拠点は沖縄からアジアへ

2011年より始まった国分グループの物流機能強化の計画は、関西総合センターの開設で当初の目標を達成した形となる。しかし、同社の計画はまだまだ終わらない。大規模な物流体制の刷新が続く国分グループでは、2016年以降に新設した物流センターでは、規模に関わらず自然冷媒を採用。本誌23号での取材にて、物流統括部 戦略推進担当部長を務める本橋 明夫氏が「新設物流センターには自然冷媒を選択するというのが、現時点での当社のポリシーです」と語っている通り、2021年1月には、株式会社前川製作所のアンモニア/CO2冷凍機を採用した「(仮称)沖縄浦添流通センター」が開設予定だ。同センターには冷凍エリアで2台(室内機は13台)、冷蔵エリアで2台(室内機は22 台)の設置が、それぞれ予定されている。

 

「(仮称)沖縄浦添流通センター」が開設することで、国分グループの総合物流拠点は、北は北海道から南は沖縄までを網羅することとなる。その次のステップはアセアン諸国や中国などのアジア各国だ。竣工式にて、國分 勘兵衛会長は「沖縄のセンターをハブ施設としてネットワーク構築を図り、今後も引き続き『低温物流に強い国分グループ』を目指していきたい」と語った。本橋氏は同社の事業拡大に対して、各国の状況に応じて自然冷媒も検討していきたいと話した。

センター内の天井吊形空調機

『アクセレレート・ジャパン』26号より