2020年11月22日、小泉進次郎環境相は同日放送のテレビにて、政府が企業のCO2排出量を、事業所単位で開示できるようにする法改正案をまとめると明かした。現行の地球温暖化対策推進法では、全事業所のエネルギー消費量の合計が一定水準を超えた場合に、企業等へ報告義務が課されている。
企業のESG推進を後押しへ
現行制度では、政府は企業単位の排出量の開示を行い、請求が合った場合に、事業所別の排出量を公表することとなっている。本改正案では、請求のない場合でも、政府が事業所別にCO2排出量を公表できることとなる。
本改正を通じて、企業のCO2排出量の取り組みを可視化しやすくなり、投資家や外部関係者が積極的に環境配慮の取り組みを行う企業へ、投資する後押しとなると小泉氏は説明。逆に旧設備からの更新が遅れている企業に対して、より詳細な改善を促せるようになる。
新政権発足後、菅総理は2020年10月26日に「2050年までに、温室効果ガス排出量を実質ゼロとする」という目標を宣言。業界関係者から大きな注目を集めた。今回の法改正は、将来を見据えた設備投資を進める企業にとって、その歩みをさらに推し進めることが期待できるだろう。
一方で、事業所単位でのCO2排出量の報告は手続きの煩雑化を招く懸念もある。事務手続きによって企業の推進力を低下させることがないよう、税務手続きの電子化などのように、関連業務の簡易化も、法改正と並行して進めていただきたい。