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河合製氷冷蔵、CO2冷凍機3年の成果

2018年6月1日に竣工した、河合製氷冷蔵株式会社の福岡第2物流センター。同社は、福岡第2物流センターに、日本熱源システム株式会社のCO2冷凍機「スーパーグリーン」を合計10台採用。稼働から約3年経過した現在、その運転実績を代表取締役社長 河合 喜文氏に聞いた。

現地での視察を経て導入へ

2021年8月現在、4拠点を持つ河合製氷冷蔵。災害時への断水の懸念やメンテナンスの難易度の高さから、同社は1995年竣工の第2拠点・古賀物流センター以降、全て空冷式の冷凍機を採用してきた。

 

福岡県冷蔵倉庫協会で冷凍機メーカーの説明会を開催した際、日本熱源システムからCO2冷凍機の特徴や各種機能の性能を聴き、すでに日本熱源システムのCO2冷凍機「スーパーグリーン」を導入していた企業も見学した。さらに日本熱源システムのパートナーである欧州企業を訪れたことも、CO2システム導入の後押しとなった。

 

R22の新規生産が終了するいわゆる『2020年問題』が、想定以上のリスクとなって私達にのしかかりました。必要だったのが、トラブル時のメーカー様からのサポートです。

 

日本熱源システム様は、コンプレッサーの在庫を十分保有して、かつメンテナンス体制も整っていました。安心して使えると判断しました。

河合製氷冷蔵株式会社 代表取締役社長 河合 喜文氏

 

福岡第2物流センターには、2021年2月から太陽光発電も導入。省エネ・環境配慮の物流拠点づくりが、ますます進んでいる。

約3年の運転実績

所管容積56,188m2、設備能力22,475設備tの福岡第2物流センターは、河合製氷冷蔵も会員である一般社団法人 日本冷蔵倉庫協会の会員企業のなかでも、大規模な部類に入る。そこの10台のCO2冷凍機が採用されたということは、当時大きな話題となった。

 

実際、竣工から現在まで、業界最大手の物流会社をはじめ、多くの事業者がこのセンターを訪れているという。そこで気になるのは、約3年の運転実績の成果だ。河合氏は、自社の運転実績と日本冷蔵倉庫協会の会員企業の平均データとの比較で紹介してくれた。

 

会員企業全体と大規模拠点を持つ企業とを比較すると、後者の方が契約電力、電力使用量、電力支払額、kWh単価はいずれも低く抑えられている。一般的に、設備tあたりの使用電力量は、倉庫規模が大きくなるほどに使用電力量は節約できるためだ。

 

福岡第2物流センターと同規模の大規模拠点のデータと比較すると、河合製氷冷蔵の各数値は非常に低く抑えられているという。特に契約電力に関しては、大規模拠点の約58.0%、会員企業全体と比較すると約50.0%の数字である。

 

冷媒性能ももちろんだが、特に効果を実感したのはデフロスト間隔の最適化だ。日本熱源システムの担当者とも話し合い、累積運転時間をもとに、タイマー設定に気を配りつつ1シーズンを通して運転 してみたところ、早い段階で最適解を発見。稼働開始から大きなトラブルもなく、今日も安定して冷凍機は動作している。

 

河合製氷冷蔵では、4事業所のうち1か所に水冷式冷凍機を使用。水の処理や配管の腐敗、冷却塔の掃除など、注意点が多い。その点、空冷式はそれらがなく、メンテナンスからオーバーホールに至るまで、すべてメーカーサイドに任せられる。「まるでエアコン感覚のように、手軽に使用できます」と、河合氏はその利便性を説明してくれた。設備全体を見学する関係者も、「機器が少ない」と驚くという。

温ブライン導入も検討

2月に太陽光発電を導入した福岡第2物流センター。次なるセンター最適化として、日本熱源システムより提案されている蓄熱だという。ヒーターで温水を生成しているプロセスから、温ブラインでの熱回収へ。部分的な採用も含め、現在検討中だ。これが実現すれば、福岡第2物流センターの省エネは、さらに前進することになるだろう。

 

幼少期、私の自宅の隣に製氷工場がありました。当時は冷蔵倉庫や製氷工場では長らく、冷媒はアンモニアが使われてきました。

 

現在は安全対策が十分練られているとはいえ、その危険性を知る身として、日本熱源システム様が提供するCO2かつ空冷式の冷凍ソリューションは、最適な選択肢だと思います。

河合氏