イタリアの自動販売機メーカーであるFAS International社(以下、FAS社)は、10月に自動販売機の全ラインナップにて、R134aからCO2への切り替えを完了したと発表した。
パナソニックのコンプレッサーを採用
ビジネス開発ディレクターであるマルコ・バロン氏によると、FAS社は2012年からCO2技術をテストしており、2018年からはパナソニック者製のCO2コンプレッサーを使用したユニットの限定生産を開始した。
現在、欧州でこのソリューションを提供しているメーカーはFAS社だけだとバロン氏は話す。バロン氏は他メーカー数社も、同様のソリューションを検討しているという噂を聞くと明かした。現在、自然冷媒採用の自動販売機は、飲料大手のPepsiCo社、Coca-Cola社が導入しているものを含め、そのほとんどがR290を採用している。
FAS社は、生鮮食品の最低温度を2℃に設定したスパイラル型やドラム型の自動販売機を得意とする。バロン氏は、機械内部では異なる温度帯を保持できるので、飲料や非生鮮食品を同時に販売可能だと説明。FAS社では年間約15,000台の自動販売機を製造、世界50カ国以上の市場に進出している。売上は順調で、さらなる事業拡大も計画中だという。
パナソニックは、2015年に自動販売機業界にCO2コンプレッサーの普及を開始した。現在、この業界ではFASが唯一の顧客であるが、パナソニックには別の潜在的な顧客がいて、(社名は公表できないものの)いくつかのプロジェクトを一緒に進めていると、Panasonic Industry Italy社のダヴィデ・リパーニ氏は話す。
CO2とR290の比較
他の自動販売機メーカーも、ここ数年Fガスから炭化水素への移行を進めている。2017年、テキサス州ダラスに拠点を置くSandenVendo America社は、R290を使用した一連の自動販売機を米国市場に投入した。
2018年には、イタリア・Epta社のダヴィデ・バルジェロ氏がhydrocarbons21.comに対し、同社の自動販売機シリーズの90%が炭化水素を使用していること。R290が主な選択肢となっているが、一部のモデルではイソブタン(R600a)を使用していることを話してくれた。
FAS社でも炭化水素の使用を検討しが、断念したという経緯を持つ。
私たちがCO2を採用したのは、完全な自然素材であり、安全であり、適切な技術的選択によって性能を発揮するからです。
FAS International社 ビジネス開発ディレクター マルコ・バロン氏
自動販売機のCO2を使用する利点は、リパーニは不燃性かつ爆発性がないため、空港や病院などより安全性を好むエンドユーザーに好まれやすいことを指摘する。また、CO2ソリューションは「後付け」が可能だ。R290では特殊な部品が必要になる変わりに、CO2では機械の設計変更、冷凍回路以外の部品を変更する必要はない。そのため、CO2機器の完成品は、コスト負担も大きくないとリパーニは指摘する。
参考
Italian Vending Machine Manufacturer Replaces R134a with CO2
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
原著者:タイン・スタウルホルム
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