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イスラエルの食肉メーカー、地域初のTCCO2システムを導入

2021年5月17日、スーパーマーケット、デリカテッセンを展開するイスラエルの食肉メーカー、The Mania Groupはドイツ、TEKO社製の2台目となるトランスクリティカル(TC)CO2冷蔵システムを、リション・レジオンの貯蔵施設に設置した。

中東で2台のTCCO2システム

TEKO社によると、The Mania Groupは約1年前に同施設に最初のシステムを導入。イスラエルでは初めて(高温度帯の中東地域でも数少ない)TCCO2システムを採用した企業となった。今回の導入は、TEKO社にとって中東で初めての超臨界CO2システムの導入となる。TEKO社は欧州で多くのCO2システム導入実績を持ち、シンガポール、タイにも拠点を構えている。TEKO社の公式HPでは、5月21日時点で5,178件のCO2システムの導入実績が掲載されている。

 

The Mania GroupがTCCO2システムを採用した理由について、イスラエルのリション・レジオンでプロジェクトを請け負ったNIK Systems社の創業者、ニコライ・ヴォドルゾフ氏は、将来的な冷凍倉庫の維持、省エネと環境への貢献、メンテナンスコスト削減と語る。ボドルゾフ氏によれば、CO2冷媒は他のガスに比べて、はるかに安価で投資効果が高いと語る。CO2を選んだ背景には、施設の近隣にオフィスビルが多いことも理由に挙げた。

 

同社の食肉保管倉庫(保有面積2,400m2)には、35の低温室と中温室があり、オーブン用の冷却プロセスも備えている。ソーセージやスモークミートなどの食肉製品を提供する同社は、2台のCO2システムを導入するにあたり、R404Aシステムからの置き換えを行った。システム容量は中温で192kW、低温で144kWであり、いずれも倉庫の屋根に設置されている。システムからの熱回収は、湿度と温度をコントロールするための特別な温度管理ルームで使用されている、とヴォドルゾフ氏は説明する。

 

システム導入は、新型コロナウイルス感染症拡大の最中というタイミングだった。TEKO社のエンジニアが倉庫に常駐して稼働支援ができなかったため、The Mania Croupは単独で機器のセットアップを行うことに。不安を覚える環境ではあったものの、TEKO社の電話・オンラインサポートの助けもあり、無事にプロジェクトは完了した。TEKO社のCO2システムプロダクトマネージャーであるサイモン・アーラー氏は、「The Mania Groupは、我々の立ち会いなしに、これまでに得た教訓や事前に行ったことをもとにスタートアップを行い、素晴らしい成果を得ました」と語る。

高温な地域でのCO2運用

中東では一般的に気温が高く、基本的なシステム効率を妨げる可能性があるため、TCCO2システムの導入例自体が少ない。リション・レジオンでは2020年6月7日〜10月13日までの4.2ヶ月間が猛暑の季節に該当し、一日の平均最高気温は27.8℃を超えるほどだ。しかし、The Mania Groupの倉庫に設置された1代目のTCCO2システムは、極端に高い外気温の中でも完璧に機能しているとヴォドルゾフ氏は説明する。実際、CO2システムの運転効率は、旧システム(R404A使用)の約2倍だった。

 

中東で最初にTCCO2が導入されたのは、2018年。ヨルダンのアンマンにある総面積2,000m2の軍用スーパー「Al-Salam」にて、R22システムの代替として設置された。アンマンでは外気温が36℃にまで達するが、並列圧縮技術とエジェクター技術を採用した同システムは、同規模のスーパーマーケットに設置されていたHFCシステムと比較して、1年間で20~30%のエネルギー消費量を削減した。この運転実績は、高温多湿で知られる日本の気候においても、十分にCO2システムが機能すると証明できる数字と言えるだろう。