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豪州&ニュージーランド

オーストラリアで進むCO2ヒートポンプ導入

オーストラリアの商業用HVAC市場に冷暖房システムを提供するAutomatic Heatingは、現地市場でCO2ヒートポンプの継続的な採用を見込んでいる。現に、すでにオーストラリア国内のさまざまな商業および住宅(アパート)プロジェクトに、株式会社日本イトミックから仕入れた100台以上のCO2ヒートポンプを納入。最大COP4.2の結果を出している。

 

これは、2022年8月16日から18日までオーストラリアのメルボルンで開催された展示会「ARBS 2022」にて、Automatic Heatingのセールスマネージャーであるテリー・プレイステッド氏に聞いたものだ。

 

同社のブースの目玉は、イトミックの業務用CO2ヒートポンプ「Revere 80kW」だ。「Revere」シリーズは、暖房・給湯の両方の目的で、最高90℃の温水を生成することができる。Automatic Heatingは、1926年創業の家族経営の会社だ。プレイステッド氏によれば、同社は5年以上前から日本イトミックと提携し、同社の製品群をオーストラリア市場に提供しており、ニュージーランドでも関心が高まっているという。

 

プレイステッド氏は、日本イトミックは自然冷媒を利用して暖房や給湯を行うという我々の要求に対して、非常に優れた供給者であると説明。HFC製品の段階的な削減が進む中、同社のヒートポンプは業界と私たちが関わるアプリケーションにおいて、特別な位置を占めていると考えている。

市場の教育

日本イトミックのCO2ヒートポンプは、ビルディングマネジメントシステム(BMS)ともシームレスに連動する。プレイステッド氏によると、このCO2ヒートポンプが新規および改修プロジェクトに採用されるよう、現地では継続的に教育が行われているとのことだ。

 

こうした活動の大きな原動力となっているのが、効率への期待だ。CO2ヒートポンプによる暖房と温水を組み合わせたシステム提供は、たとえ極寒の地(-5℃F以下)でもHFCヒートポンプよりも効率的な運転を実現できるという。

 

メルボルンでは、95戸のアパートの建物に電気システムを設置するプロジェクトが組まれた。その場合、必要な電力は建物全体で2,000アンペア近くになるはずだった。しかし、Automatic HeatingはCO2ヒートポンプを使ったセントラル給湯システムで建物を設計し直した。結果、必要な電力は2台でわずか50アンペアと大幅に削減された。ランニングコストだけでなく、設置費用も安くなったとプレイステッド氏は話す。

 

さらに、ヒートポンプは非常にコンパクトなサイズで、機械室へのアクセスが制限されている環境下でも設置が容易だ。大型の80kWタイプでも、モジュール設計により簡単に分解して狭い部屋に移動することができる。設置面積も、ボイラーに比べ小さい。

拡大する設置台数

CO2ヒートポンプの代表的な用途として、マンションなどの集合住宅が挙げられる。ある地域では、複数のビルや400戸以上のマンションに日本イトミックのヒートポンプが設置され、冷暖房や給湯に利用されている。プレイステッド氏によると、この結果、電力消費量が削減され、屋上や機械室の設備に使うスペースも少なくて済むようになったそうだ。別の設備では、オーストラリアの大学に暖房と温水を供給している

 

また、自転車で通勤した後にオフィスでシャワーを浴びる人に、お湯を提供するという使い方も人気だ。最近では、システム内で温水の需要が多い大型ボイラーの給湯を予熱する用途もある。

 

プレイステッド氏によると、Automatic HeatingのCO2ヒートポンプの市場普及活動や取り込みは順調に進んでいるという。エンドユーザーへの継続的な啓蒙活動と、実際に稼働しているユニットを見学できる成功事例の増加のおかげだ。

 

政府の奨励策も、オーストラリアの規格に適合した効率的なCO2ヒートポンプの普及に一役買っている。例えば、ビクトリア州は天然ガスの需要削減に力を入れており、特に2030/2035年までにネットゼロ目標を達成することを目指し、オフィスビル、市庁舎、水族館にヒートポンプの使用を奨励し、電化プロセスを継続することに関心を持っている。

 

「これまでの経験から、私たちには成長の余地があり、お客様がネット・ゼロへの道を切り開くのをサポートする余地があると思います」と、プレイステッド氏は述べた。オーストラリアとニュージーランドでの市場拡大に加え、Automatic Heatingの今後の計画では、パートナーシップを拡大・強化し、これらの機器の現地での継続的なサービスやメンテナンスをサポートすることに重点を置いている。

参考

Installation of CO2 Heat Pumps Seen Growing in Australia
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

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