2022年2月1日〜2月4日の4日間、東京・ビッグサイトにて開催された「HVAC&R JAPAN 2022」(主催:一般社団法人日本冷凍空調工業会)。本展示会では自然冷媒機器の新規参入メーカーの姿も見られたが、そのひとつが不二熱学グループと株式会社メイワによる、R290採用の空調用小形HPチラーだ。
2024年の発売に向け準備進める
省エネ効果だけでは、今後の市場の変化には対応できない。空調衛生設備の設計、施工、サービスを展開する不二熱グループは施工業者だが、ライフサイクルコストへの観点と、メーカー側の立場で自然冷媒の技術への知見を深めたいという思いから、R290チラーの開発を決定。チラーの開発といった冷熱事業を展開するメイワと協働で、プロジェクトを進めている。

不二熱学工業株式会社の近藤 康之氏は、冷媒に関する規制が多い現状において、R290という選択で「業界に一石を投じたい」という考えもあると話す。現在は第一次試作品が完成し、目標の冷暖房能力を確保できる段階まで来ているという。今後は2024年4月発売を目標に、制御テストやフィールドテストを各1年ずつ実施する予定だ。
今回の参考展示では、環境配慮型の設計であること、水循環方式でR290が室内に送られないため、室内への漏えいリスクがないということから、来場者からは好反応だったという。納入先として想定しているのは、店舗や工場の休憩所といった小規模スペースだ。展示されたチラーは、冷房能力が4.5kW、暖房能力が5.0kWを有するという。
これからの開発では、COPの向上、負荷変動及びデフロスト運転への対応、冷媒漏えい時の安全装置の動作確認、コスト低減といった種々の課題をクリアすることとなる。それと並行して、不二熱グループは社員への教育を徹底し、自社でR290機器の施工、保守点検を行える運用体制を整えていく予定だ。