米国環境保護庁(EPA)長官のマイケル・リーガン氏は、英国グラスゴーで開催された気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)での演説で、HFCsの違法取引を抑止・撲滅するためのグローバルな取り組みを呼びかけた。
他国に期待
リーガン長官は、11月9日に米国パビリオンで開催された世界のリーダー、ビジネス関係者、NGOによるパネルディスカッション「Securing the Climate Benefits of the Global HFC Phasedown」に登壇。「Securing the Climate Benefits of the Global HFC Phasedown: Preventing Illegal Trade in HFCs(全世界でHFCに関する強制力のある違法取引抑止・撲滅を目的とした規制施行の重要性)」と題したパネルで、国際的なHFC規制の重要性に言及した。
欧州では、EUのFガス規制によりHFCの入手が困難になって以来、過去数年にわたって違法なHFC取引が横行している。9月にはEPAが米国革新製造法(AIM法)に基づく独自のHFC段階的削減プログラムを制定した。
リーガン氏は、HFCの世界的な段階的削減は、気候危機への対応に不可欠であると説明。HFCの違法な取引は、段階的削減による気候変動への恩恵を損なっていると警鐘を鳴らす。同氏は、他国もまたHFCの違法取引を検知し、その抑止・防止策を講じることを期待すると述べた。
さらにリーガン氏は、EPA独自の「強固で、機敏で、革新的なコンプライアンスと執行システムを説明した。この規則では、次の項目が定められている。
- 商取引によるHFCの移動について、電子的な追跡システム(QRコードを含む)を確立する
- 詰め替え可能なボンベの使用と容器のラベル表示を義務付ける
- 規則に違反した場合、民事および刑事上の強制措置に加えて、行政上の罰則(例:許容量の無効化または除去)を設ける
- 企業の記録管理と報告について、第三者による監査を義務付ける
- 一般市民や市場参加者にHFCの生産と消費のデータの透明性を提供し、執行とコンプライアンスの取り組みを支援する
- HFCの違法取引を防止するために、EPAは他の連邦機関、特に米国税関・国境警備局と連携する
こうした各国のノウハウや経験を共有することで、気候変動の原因となるHFCを違法に取引しようとする者が用いる共通の慣行を特定・防止することができるのです。
EPA長官 マイケル・リーガン氏
参考
U.S. EPA Administrator Regan Calls for Global Effort to Stop Illegal Trade of HFCs
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
原著者:マイケル・ギャリー
ATMOsphereネットワーク
今回ご紹介した記事・発表について詳細を知りたい方・意見交換したい方は、ぜひATMOsphereネットワークにご参加ください!クリーンクーリングと自然冷媒の分野で志を同じくするステークホルダーと交流しましょう。(ATMOsphereネットワーク)