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スウェーデンVattenfall、新型家庭用CO2ヒートポンプを開発

スウェーデンの多国籍電力会社Vattenfall社は、従来のガスボイラーに代わる暖房・給湯用の高温CO2ヒートポンプ給湯機を発売した。この高温ヒートポンプシステムは、ガスボイラーとラジエーターで暖房され、適度な断熱性のある既存の一戸建て住宅向けに特別に開発されたものである。同製品は2022年半ばにオランダで展開され、将来的には英国などこの種のソリューションを必要とする国に導入することを目指しているという。

脱炭素のための新たなソリューションを提示

Deepresource.comウェブサイトによると、このヒートポンプは、Vattenfall社とその子会社でオランダの設置業者であるFeenstra社、ドイツのハイブリッド暖房メーカーSOLVIS、そして日本の株式会社デンソーの共同で開発された。Vattenfall社とFeenstra社が3年間かけて研究開発を行い、オランダのHeemskerkにある20軒のテストハウスでテストを行った結果、完成したものだという。

 

current-news.co.ukに掲載されたVattenfall社のインフォグラフィックでは、このCO2ヒートポンプは空間暖房と温水製造の両方を兼ね備えた「世界初のヒートポンプの一つ」と紹介されている。ヒートポンプに加えてバッテリーの役割を果たす「層状バッファ」を採用し、「一時的に暖房能力を2倍にする」能力も有する。インフォグラフィックによると、ヒートポンプから出た水は65℃以上の温度でバッファーに入り、85℃までの温度を作り出すという。

 

Vattenfall社は、オランダとイギリスの家庭では既存のガスボイラーを交換しても、他の暖房システムの変更や断熱材の追加などの追加費用や混乱を招くことなく、同時に低温度のヒートポンプが必要になると指摘する。

 

私達の高温ヒートポンプは、革新的で設置が簡単であり、従来のガスボイラーを使用している英国の住宅の脱炭素化を支援するソリューションとなるポテンシャルを秘めています。

Vattenfall Heat U.K.社 マーク・アンダーソン氏

 

同社によると、英国の二酸化炭素排出量のうち、暖房が占める割合は37%にも上る。ヒートポンプは、住宅が分散している郊外や農村部での脱炭素暖房に最も適しているとした上で、人口密度の高い地域では、エネルギー回収プラントなどから廃熱を回収し、地域暖房ネットワークを介して家庭や企業に供給することが最も費用対効果の高いソリューションであると説明する。

 

Vattenfall社が昨年英国で行った調査によると、低炭素暖房システムを導入する余裕があると確信している成人は25%弱に留まった。高温ヒートポンプの価格は現行の低・中温ヒートポンプと同等ですが、後付けの断熱材や床暖房にかかる余分なコストはかからないという。

参考

Swedish Company Launches Home CO2 Heat Pump for Space and Hot-Water Heating
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

 

原著者:マイケル・ギャリー

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