PARTNERS
北米

米国NGO、KrogerにHFC廃止に向けた取り組みの加速を要求

米国のNGO、Green Americaと環境調査エージェンシー(EIA)は、米国のスーパーマーケット・チェーンであるKroger社のロドニー・マクマレンCEO宛に、「2030年までにすべての施設と店舗でHFCの使用を中止する」ことを求める書簡に署名するよう消費者に呼びかける新たな活動を開始した。嘆願書では、Krogerに対して「全店舗での明確な漏えい削減目標」を設定することも求める。

 

同嘆願書は、同社の株主であるFriends Fiduciaryが最近行った、「冷凍機におけるHFC使用廃止に向けた最善の技術的選択」を要求する挑戦に続くものである。Krogerは2021年のサステナビリティレポートで、より低GWPの冷媒に移行する意向を示したが、そこでは「GWPを1,400未満にする」という目標を設定。同社は冷媒管理方針において、冷媒関連のGHG排出量の削減に取り組むことを表明しており、その中には漏えい削減も含まれている。

 

EIAとGreen Americaによると、Krogerは新規店舗のうち7店舗のみ非HFC冷媒への移行を約束しており、その他の既存のスーパーマーケット2,800店舗については、同様の計画は立てていないという。HFCはスーパーマーケットチェーンが直接排出するGHGの63%を占めていると、Green Americaは説明する。

 

Green Americaの気候キャンペーン・ディレクターであるダン・ハウエルズ氏は、「Krogerは何年も前からこの問題を知っていたが、その取り組みは問題の緊急性に対応できていない」と批判。差し迫った気候危機に対して、KrogerはHFCをより積極的なスケジュールで削減するため、明確で詳細な計画を提供する必要があるとした。

競合他社にも後れを取る

2020年、EIAは米国最大のスーパーマーケットのHFC排出量削減への取り組みを採点。Krogerのスコアは16/100にとどまり、競合のALDIやWhole Foodsの70/100分、46/100に及ばない結果となった。EIAは、Krogerがすべての新築および大規模改築において、HFCフリーの技術を導入するよう提案している。

 

EIAによると、米国のスーパーマーケットからの冷媒漏えいは、毎年4,500万トンのGHGの原因となっており、CO2などの超低GWP冷媒への移行が、この数字に大きな影響を与えることは明白だという。

 

EIAの気候キャンペーンリーダーであるアビプサ・マハパトラ氏は、「HFCは気候に大きな影響を与えるため、段階的に削減するための世界的な取り組みが行われている」と説明。その上で、Krogerのような企業が、すでに多数あるHFCフリーの選択を取らず、気候を破壊する旧式のシステムに依存し続けていることは、非常に悲しいことだと話した。

 

マハパトラ氏は、Krogerはすべての新店舗で超低GWP冷媒を採用し、2030年までにHFCの使用を段階的に廃止する計画を、公表し約束する責任があると付け加えている。

 

世界中のスーパーマーケットは、HFCに対してより迅速に行動すべきという、日々高まる圧力に直面している。昨年、Walmartの株主は同社が事業から放出する冷媒を削減する計画を加速させるよう求める提案に賛成した。EIAは最近、英国のスーパーマーケットチェーンASDAに対し、高GWP HFCベースの空調システムの設置について異議を申し立てている。

参考

NGOs Urge Consumers to Pressure Kroger to End Use of HFCs
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

ATMOsphereネットワーク

今回ご紹介した記事・発表について詳細を知りたい方・意見交換したい方は、ぜひATMOsphereネットワークにご参加ください!クリーンクーリングと自然冷媒の分野で志を同じくするステークホルダーと交流しましょう。(ATMOsphereネットワーク