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EC、新法で冷房分野での再生可能エネルギー増加を期待

欧州委員会(EC)は2021年12月、EUの再生可能エネルギー目標に算入できる再生可能な冷房および地域冷房の量を計算するための新法を発表した。同法は、冷房がEU加盟国の全体的な再生可能エネルギー目標にカウントされる方法と、再生可能エネルギー指令(2018/2001/EU)に基づく暖房、冷房、地域冷暖房に関する部門別目標に貢献する方法の両方を明確にするためのものである。

現行法のギャップ埋め、冷房分野改革へ

ECは声明の中で、「2009年以降、再生可能エネルギー指令で原則的にカバーされていたにもかかわらず、これまでは実際には計算できなかった」として、新しい計算方法は現行法のギャップを埋めるものであると述べている。この方法論について、ECは「世界で初めて導入されたこのような計算方法である」としている。

 

この委任法は欧州議会と欧州理事会に送られ、2ヶ月間の審査が行われる。これらの機関が異議を唱えなければ、同法は欧州連合官報に掲載された後に発効する。

 

同法は、再生可能な冷房システムをそのエネルギー性能に基づいて測定し、EUエコデザイン指令(2009/125/EC)で考慮されている季節性能係数(SPF)と関連付けるものである。

 

ECによると、この法律では2つの効率基準が設定されており、下限の基準値を下回る冷却システムは「再生可能冷房」としてカウントせず、上限の基準値を上回る性能のものは「再生可能冷房」としてカウントする。

 

この2つの基準値の間にある冷却システムは、効率が高い方の基準値に近づくにつれて、直線的に増加する冷却量を再生可能エネルギーとして計上できる。

 

同法により定められる新規則は、効率的な可逆式ヒートポンプや地域冷暖房ネットワークなど、最もエネルギー効率の高い技術に報いることを意図しており、暖房、冷房、地域冷暖房の各分野における再生可能エネルギー目標の達成に向けて、その価値を認めている。

 

現在議論されてい新報では、「2030年までに欧州の送電網に供給する再生可能エネルギーの割合を少なくとも40%にする」とされている。現在の割合が約20%であることを考えると、大幅な前進と言えるだろう。

 

ECは、冷房がエネルギー関連の重要な分野になりつつあることを指摘。その推定によると、いくつかの欧州諸国では同分野が総エネルギーの5〜20%を消費している。冷房分野にエネルギー効率の高い冷却システムを導入することは、「Fit for 55」法制パッケージの2030年目標と、2050年に向けた欧州グリーンディールによる気候中立性の枠組みの達成に貢献にもつながることが期待されている。

参考

European Commission to Credit Efficient Cooling in Renewables Calculation
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

 

原著者:トマス・トレビザン

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