2021年2月16日〜2月19日にかけて、東京ビッグサイトにてホテル・旅館・観光・各種施設の日本最大級の商談専門展示会「HCJ2021」が開催。各ブースではすでに多くの国内実績を積み重ねている製品から、今後の市場開拓を視野に入れた参考出品が見られた。
そのなかで、やはり今年注目すべきは炭化水素冷媒製品の市場である。展示会では急成長への期待、そして国内市場における課題を見ることができた。
新規参入者、続々と
小型・内蔵型の炭化水素冷媒製品は、小売店舗や宿泊施設など多くのマーケットで広がりを見せている。取り回しが容易で設置後のメンテナンスコストも抑えられ、用途に応じた柔軟なラインナップ展開がなされているからだ。
「HCJ 2021」においても、炭化水素市場の活況ぶりがうかがえる。ダイキン工業株式会社は、R134aからR290・R600aへと冷媒を切り替えた冷凍ストッカーを展開。個々数年で約1,000台の販売台数を数えたが、R134a製品は累計約4,000台の実績を持ち、市場のポテンシャルはまだまだ高いと言える。
レストラン向けには、ワインセラーも堅調に売上を伸ばしている。自社のPB商品とドイツのワインセラーブランドを扱う株式会社グローバル、フランスの製品を扱う日仏商事株式会社では、それぞれ年500〜1,000台程度のR600a内蔵型ワインセラーを販売。HFC採用のモデルも切り替えが進むなど、「ノンフロン化(炭化水素採用)」は止まらず進んでいるのである。
そして、デザイン性の高い冷凍冷蔵庫を海外にも販売している大和冷機工業株式会社では、参考出品としてR600a採用の扉付きドリンクケースを展示。同じく炭化水素採用の薬用ケースも開発を進めているという。すでに市場を開拓する企業から新規参入を図る企業まで、その活発な動きはCO2ソリューションの認知度が爆発的に伸びた、ここ5年〜10年の変化を感じられるものである。
国内メーカーが注視するリスクアセスメント
小型・内蔵型の炭化水素製品が非常に活況を迎えている一方、業務用冷凍冷蔵庫など、中型〜大型製品の開発・市場投入に関しては、「様子見」の姿勢を保つ関係者も多い。ホシザキ株式会社は2020年の「HCJ2020」にて、ローソン株式会社の「ローソン慶應義塾大学SFC店」にて使用されたR600a採用の冷蔵庫を展示。
確かな省エネ効果もデータとして取れたが、本展示会では今後の開発などを背景に未出展となっている。2021年3月頃には発表されるのではとされる一般社団法人 日本冷凍空調工業会のリスクアセスメントの結果に応じて、対応したいとの考えだ。
ホシザキはすでに、欧米の市場にて炭化水素採用の冷凍冷蔵機器の販売実績を何年も積み重ねている。技術面の問題はなく、「いつでもいける」という状態だ。それゆえに、近く発表されるであろうリスクアセスメントの結果が、同社の歩みを決めるとすら言える。
こうした状況に置かれている国内企業は、決して少なくはない。現在賑わいを見せる小型・内蔵型の市場拡大の勢いをそのままに、リスクアセスメントが一気に国内の炭化水素市場の裾野を広げるという未来に、期待せざるを得ない。