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炭化水素採用冷蔵庫を初展示【HCJ2020レポートPart1】

2020年2月18日〜2月21日にかけて、幕張メッセにてホテル・旅館・観光・各種施設の日本最大級の商談専門展示会「HCJ2020」が開催された。本年は新型コロナウイルスによる影響を受け、来場者は40,255 名にとどまることとなった(前年度は67,171名)。それでも開催期間中は天候にめぐまれ、連日10,000名以上の来場者を記録。先に開催された「スーパーマーケット・トレードショー2020」と同様に、本展示会も多くの炭化水素ソリューションの進歩を、改めて目の当たりにすることとなった。

イソブタン採用の業務用冷蔵庫を初展示

ホシザキ株式会社はブース入り口そばの展示エリアにて、イソブタン(R600a)を採用した「HR-120ATノンフロン仕様冷蔵庫」を参考展示。冷蔵庫は定格内容積が819Lあり、温度設定範囲は-6〜12℃。冷却時の消費電力は182Wで、年間消費電力量440kWh/ 年のスペック性能を持つ。同社の炭化水素業務用冷蔵庫をはじめとしたノンフロン製品は、2019年9月にオープンした慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス内のローソンにて本格導入された。

ホシザキのイソブタン冷蔵庫

本社営業部 広告宣伝課の奥田 祐氏は、2020年2月時点で冷蔵冷凍庫、製氷機、スシケースにて、炭化水素冷媒を用いた技術開発および展開準備が完了していると話す。本社所在地の愛知県を中心に、現在メディア各所にてプレスリリースを出したほか、公式HPでも発信をしている最中である。開催に先立ち行われたプレリリースでも、競合他社から多くの見学者が来訪したと、奥田氏は話した。IECでの充填量引き上げのニュースについては、現状の150g以内の充填量を想定した上で、社内独自にリスク評価をしつつ開発を続けている。

 

同社はすでに欧州市場へ、多くのプロパン、イソブタン(R600a)製品を納入した実績がある。海外向けの製品開発も、日本の生産拠点で生産してきた(アメリカ市場については、現地工場で製造・販売している)。ノンフロンの開発ノウハウは、十分に備えていたと言える。また同社は海外のエンジニアとの技術交換会を行う過程で、欧州のエンジニアを中心に、炭化水素は決して安全性が低いわけではなく、むしろ当たり前に浸透している現状を目の当たりにしてきた。

 

一方日本では、漏えいセンサーの取り付けに関する議論や、ユニットの配置制限など安全性を重視したい市場文化が根強い。環境配慮はもちろん、約1年間、日本市場独自の事情を踏まえた技術開発を経て、同冷蔵庫が発売されたのである。「将来的にR404a等HFCの価格高騰が避けられない中、炭化水素以外の冷媒も意識しながら、まずは意識が高いエンドユーザー様を中心に、ノンフロン機器を浸透させていきたいです」と、奥田氏は述べた。

 

本誌では約8年に渡り、ホシザキの自然冷媒機器開発の動向を見守ってきた。この1年でローソンに続く心弾む事例の報告が、待ち遠しいばかりである。