PARTNERS
日本

【ATMO APAC Summit 2022】Güntner、CO2クーラー最新技術とアジア市況を紹介【技術ケーススタディ】

2022年6月27日、ATMOsphere主催の国際会議「ATMOsphere(ATMO) APAC Summit 2022」の一日目となるイベントが、東京コンファレンスセンター・品川にて開催された。二日間の日程で開催される本イベントにおいて、一日目は日本市場に焦点を当てた各種セッションが展開された。

 

技術ケーススタディに登壇した、Güntner Asia Pacific Pte Ltdのキーアカウントマネージャー 佐竹 智宏氏は、同社が進めるCO2クーラーの技術的特徴を紹介。また、アジア・オセアニア各国の同社営業所のアンケートも活用し、各国での自然冷媒導入状況、主要冷媒なども発表してくれた。

ユーザー最適の空気熱交換器開発

Güntnerは1931年、ドイツはミュンヘンの空気熱交換器の修理工場として創業。現在は、世界6カ所(ドイツ、ハンガリー、インドネシア、メキシコ、ブラジル、ルーマニア)に工場を、27カ国に営業所を有し、4,000人の従業員がそれらを支えている。2020年11月期の売上は、約3億1,800ユーロ(約500億円)だ。

 

同社製のエアクーラーは、食品工場、冷凍冷蔵倉庫、スーパーマーケットなど各業種に合わせて、最適化した形状にて生産している。ガスクーラーもまた、CO2のような高圧にも耐えうる製品から、全長が10mを超える発電所向けのラジエーターまで、幅広いラインナップを有する。同社は全世界のフリーザー、エバコンメーカー向けに、コイルも販売している。

 

Güntnerが特に力を入れているのが、各製造拠点に用意した研究室での研究開発だ。同室を用いて、エアクーラーの最適設計の検証を絶えず行っている。ここで得られた結果は、空気熱交換器の設計ソフトウェアに反映され、最前線の営業担当はそれらをもとに仕様書を作成。エンドユーザーにとって、最適なエアクーラーを供給する。

 

これにより、最適化されたエアクーラーを最小限の資源で製作でき、環境保護・コスト削減にもつながると佐竹氏は説明する。同社のソフトウェアは、同社のHPでも公開されており、誰もがエアクーラーを設計できるようになっている。

 

Güntnerは、エンドユーザーの要望に合わせてエアクーラーの設計自体に大きく手を加えている。実際に、ドイツのエンドユーザーの要望を受け、以下のような新設計を考案した。

 

  • 作業者の快適性追求→風当たりの最小化、ファン騒音の最小化
  • 衛生的なクーラー設計→ホコリがたまらない構造、洗浄が容易な設計、空気清浄機能(UV-Cランプ)の搭載

 

UV-Cは短波長の紫外線の一種で、細菌や真菌、ウイルスなどの微生物を無害化することが証明されている。Güntnerも独自の実験を通じて、その効果を確認したという。

省エネ対策

Güntnerは、省エネ対策として次のような設計を製品に施している。

 

①ガスクーラーに水冷システムを備えた「アディアバティッククーラー」

夏場の最高気温のみに水冷システムを活用し、ガスクーラーの吸い込み温度を下げコンパクト化と省エネ運転を実現。水冷システムは、スプレー噴霧式と水冷パット式の2種類ある。

 

②EC(電子制御)ファン

空気熱交換器で、もっとも電力消費量が多いファンに対して、省エネ技術を導入。欧州で開発されたECファンを日本市場でも投入し、その数は1,000台以上となる。実際に、ECファン導入により、従来のファンと比較して10〜20%の節電効果が確認されている。

アジア市場での声

今回の発表に際して、Güntnerはアジア市場における自然冷媒市場の生の声を、同社の営業所より集めてきた。発表の最後に、各国市場における自然冷媒向けクーラーの納入シェアと、主な自然冷媒の種類などを発表してくれた。

 

特に日本市場において、同社は「CO2といえばGüntner」をスローガンとしているだけに、非常に高いシェアを誇る。各国市場の状況も、わかりやすく伺える一覧だ(詳細はスライドにて紹介)

 

これらの回答の結果は、あくまでGüntnerの実績に関する割合である。実際の自然冷媒導入状況とは、若干の相違点があるだろう。ただ、このアンケート結果からは、日本がアジアの中でもCO2クーラー導入で突出した実績をうかがい知ることができる。

参考

Güntner Asia Pacific Pte Ltd キーアカウントマネージャー 佐竹 智宏氏