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GL2020:高温下で高パフォーマンスを見せるマルチ温度帯CO2冷凍ユニットの研究

2020年12月7〜9日にて開催された「第14回グスタフ・ローレンツェン会議(GL2020)」。イリノイ大学のステファン・エルベル氏は、最大50°Cの周囲温度でも、従来のHFCシステムと同等、あるいはそれ以上の効率を維持できるCO2マルチ温度対応冷蔵システムの設計・評価について発表した。

複数のシステム案でCOP改善を達成

ユニットの試作機はシニアリサーチエンジニアであるニール・ローレンス氏、チーフエンジニアであるステファン・エルベル氏、およびペガ・アーニャク氏によって設計された。エルベル氏とアーニャク氏は、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校にてそれぞれ研究助教授と研究教授を務めている。

 

エルベル氏は「GL2020」の12月9日の講演にて、“Advanced R744 Technology Applied to a Multi-Temperature Refrigerated Container.”の論文を引用し、チームの調査結果を発表。

 

調査では、25〜50°Cの周囲気温において、試作機のユニットでは「3.4〜5.4kW(0.97〜1.5TR)の中温帯、2.3〜4.1kW(0.65〜1.17TR)の低温帯にて0.75〜1.6COPを達成した。なお、周囲温度40°CのR404A冷媒の冷凍ユニットと比較すると、COPが18%優れていたという。

 

高温でのこれらの結果を達成するために、チームは低温ブースタ圧縮含むエンハンスメント技術、中間冷却、内部熱交換器(IHX)、及びエジェクターを使用して膨張仕事回復多段遷臨圧縮。

 

高温下でこの結果を達成するため、チームは低温ブースター圧縮、内部冷却を伴う多段超臨界圧縮、内部熱交換(IHX)、エジェクターを使用した膨張工程の改善など、多くのシステム改善技術を取り入れている。

 

これらのシステム設計のうち、IHX(31%)、低温コンプレッサー(24%)、エジェクター(16%)の順にCOP改善につながったという。チームはエジェクタ、低温コンプレッサー、およびIHXのパフォーマンスを強化することで、COPをさらに改善できると予測。さらに5〜10%の増加が達成可能であると推定した。

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