2021年6月1日(火)〜4日(金)に開催された、アジア最大規模を誇る「食の技術」総合トレードショー、「FOOMA Japan 2021」(主催:一般社団法人 日本食品機械工業会)。『アクセレレート・ジャパン』は現地にて、自然冷媒機器開発を牽引するメーカーを取材。そこで見えたのは、産業用分野でのCO2機器の躍進と、今後の課題だった。
市場で繰り広げられる競争
愛知スカイエキスポにて開催さてた「FOOMA JAPAN 2021」は、661社の出展社の提案する最新ソリューションを見に、4日間で合計22,420人が来場した。翌年開催の「FOOMA JAPAN 2022」は、2022年6月7日(火)~6月10日(金)にて、会場を東京ビッグサイト(東1~8ホール)に戻し開催することが決定している。
冷凍設備の部門においても、弊サイトにて紹介した日本熱源システム株式会社、株式会社前川製作所、三菱重工冷熱株式会社のほか、昨年1月にSCM Frigoと業務用冷凍機の日本向け販売総代理店契約を結んだ株式会社ミヤザワの姿も見られた。特に前者3社は、CO2、アンモニア/CO2、R290と多彩な冷凍冷蔵用途に合わせたソリューションを持ち合わせているが、なかでも目立ったのは、産業用分野を中心としたCO2機器の採用事例の顕著な増加である。
CO2冷凍機の採用増加の要因は、主に2点あるだろう。ひとつは「安全性」だ。かつてはCO2冷媒の高圧に対する懸念を多く耳にしていた同分野だが、最近は主冷媒であるアンモニアと比較して、毒性、可燃性といった観点でむしろ安全性が高いという評価が増えている。住宅街が近いなど、立地上の問題からCO2単独冷媒を求めるユーザーが増えているというのが、どのメーカーでも耳にする意見だった。
もうひとつの要因は「大型化への対応」である。いずれのメーカーも、収容面積が大規模な倉庫、物流センター、食品加工工場に対応できるような、大容量の冷凍機の開発を次々と発表。小売店舗といった業務用冷凍冷蔵分野のみならず、倉庫、工場といった産業用冷凍冷蔵分野でも、CO2は十分市民権を獲得している。各社メーカーの開発競争が進めば、さらなる省エネ効率の向上、導入コストの低下も見込める。日本のCO2市場は、いいサイクルに乗っていると言えるだろう。
飛躍の鍵を握る「3歩目」への期待
CO2冷媒を採用した冷凍冷蔵機器の開発、そして導入事例の加速。それぞれを1歩目、2歩目と数えるならば、日本市場は新たな3歩目に踏み出す必要がある。それは「実績」だ。環境配慮の側面としての自然冷媒導入は、多くのメリットを持つことはもはや疑いようのない事実だろう。一方で、環境のみならず経済的側面でのメリットも得られなければ、これ以上の導入数増加は困難となる。
倉庫等で主な冷媒であったHFC、HCFCに対して、どの程度省エネ効果を発揮しているのか。夏場と冬場とで、どの程度運転効率に差が生まれるのか。日本を代表するメーカーの持つデータがオープンにされることで、より顧客満足度の高い技術の開発にもつながるだろう。冷凍冷蔵機器を設置した「その後」は、おそらく多くのエンドユーザーが注目するポイントである。『アクセレレート・ジャパン』もまた、パートナー企業を中心に広く導入事例を集めていきたい。