フィンランド南西部のピルッカラにあるアイスリンクは、古いR404システムを2段階の熱回収を備えた新しいCO2ラックに更新。年間のエネルギー消費量を約30%削減(500MWhから350MWh)するのに成功した。
スウェーデンのアイスリンク専門コンサルタント会社、EKA – Energi & Kylanalysはこのアイスリンクのシステム設計を担当している。同社のマネージングディレクター、ヨルゲン・ログスタム氏はLinkedInの投稿にて、「フィンランドだけでなく世界で最も持続可能で費用対効果の高いアイスリンクの一つとなり、これまで寒かったアリーナルームが暖房で快適になった」と述べた。
この投稿は、アンモニアを支持し「CO2はアイスリンクでは使えない」と主張する人への返答だった。「アンモニアには全く問題がありません。しかし、正しく設計すればCO2アイスリンクはさらに良いパフォーマンスを発揮します」(ヨルゲン氏)
ピルカラのCO2システム
ピルカラのアイスリンクに設置されたCO2ラックは、冷却能力250kWを有し既存のリンクフロアに接続。二次冷媒にはギ酸カリウム溶液が使用されている。この新システムは、フィンランドのSuomen Tekojää Oyが設置した。
2段階の熱回収システムにより、アリーナ内のすべての暖房需要をカバー。屋根構造の湿度処理を確保するために再設計された、除湿システムも含まれている。唯一の例外は、フィンランドのアイスリンクに設置が義務付けられているサウナである。
もともと自治体は、省エネのためにアリーナルームを非加熱にすることを望んでいた。しかし、新しいCO2システムを導入することで、持続可能な方法で部屋を暖めることができるようになった。このシステム改善により、EKAはアイスリンクの快適性が著しく向上するとともに、氷への熱負荷が安定し、需要を賄うための継続的な熱回収プロセスを維持できるようになったと説明する。
ピルッカラのCO2アイスリンクは、8月から3月までの年間8カ月間営業している。EKAのウェブサイトに掲載されているケーススタディによると、このアリーナは氷が1枚で、観客収容人数は約600人と、フィンランドのアイスリンクの中では一般的な規模だ。EKAは2018年に、システムの再設計を開始した。
新システム導入後の当初、ピルッカラ自治体は新システムを最適に制御し、期待される節約を達成するのに苦労したという。EKAはプロジェクトを軌道に乗せる手助けをし、2020-2021年のシーズンにはエネルギー消費量を500MWhから351MWhまで減らすことができた。
アイスリンクのCO2冷凍システムで大幅なコスト削減を実現したのは、ピルッカラだけではない。デンマークのオーフス市では、市営アイスリンクにCO2ラックを設置し、二次システムではなくCO2パイプを下に敷いた床を設置することで、50%の省エネを実現した。そのシステムは、デンマークのAdvansor社が設計・製造したものだ。
アンモニアには全く問題がありません。しかし、正しく設計すればCO2アイスリンクはさらに良いパフォーマンスを発揮します。
EKA ヨルゲン・ログスタム氏
参考
Finnish Ice Rink Saves 30% in Energy Consumption with CO2 Rack
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
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