ATMOsphereネットワークとFutureGreenNowは、一般的な冷媒の地球温暖化係数(GWP)に関する誤った情報に対処するため、冷媒の影響に関するファクトシート「Real GWP: 20 years vs. 100 years」を発行した。シートには各冷媒の20年GWP、100年GWPを記載している。
より実態に即した冷媒評価を
ファクトシートは2ページで構成されており、21種類の一般的な冷媒(自然冷媒を含む)の表を掲載。また、混合冷媒の組成と、20年および100年で測定した地球温暖化係数(GWP)を示している。2ページ目には、一般的な100年GWPだけでなく、20年GWPを測定することの重要性についても掲載している。
エンドユーザー、メーカー、政策立案者は、冷媒を選択する前にこの新しい数値を見る必要があります。その選択は、気候と経済の両方に大きな影響を与えるのですから。
Shecco CEO マーク・シャセロット
HFC、HFO、HFO混合などの新冷媒は、オゾン層を破壊せずGWPが低いため、「気候にやさしい」として販売されている。しかし、これらの冷媒の実際の寿命を評価すると、健康、安全、および環境への悪影響が懸念される。例えば、低GWPソリューションとされるR32は、100GWPの測定では704となる。
しかし、同冷媒が大気中で分解される期間はもっと短く、20年GWPで計測すると2,530と約4倍にのぼる。より正確な20年GWPのデータではなく、100年GWPのデータを提示することは、一般の人々や政策立案者に誤解を与える危険性が否定できない。
南アフリカの独立系CO2コンサルタント会社、FutureGreenNow社のCEO、ウィナンド・グローネバルド氏は冷媒のGWP値に対する見方を変える必要があると言及。大半の冷媒の寿命は約20年であり、現在省エネ・省コストで注目されている冷媒の評価は、100年GWPから20年GWPに視点を変えると一変するという。
「2050年の気候ニュートラルとネットゼロカーボンの目標達成に、あと100年の猶予はありません。これらの目標を達成し、環境へのダメージを抑えるためには、今後10年間に決定される政策が非常に重要です」とシャセロットは主張している。
参考
Fact Sheet Shares ‘Real’ Impact of Refrigerants Promoted as ‘Low-GWP’
原著者:タイン・スタウスホルム
ATMOsphereネットワーク
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