弊サイト発行元であるSheccoは、アイスリンクのオーナー向けに、自然冷媒とHFO混合冷媒であるR513Aの環境への影響や規制措置に関する違いを解説した、冷媒ファクトシートを発行しました。
アンモニアは古くからアイスリンクの冷房に使用されており、現在はCO2のシステムも使用され始めています。しかし近年では、R513Aやその他のHFO混合冷媒(R448A、R449A)が、化学メーカーによってサステイナブルな代替品として盛んに販売されています。
今回発行するファクトシート「Choosing a Future-Proof Refrigerant for Your Ice Arena」は、オーナーが最適な冷蔵投資を行えるよう作成されています。R513Aは、100年GWPが600、20年GWPが1,700であり、その44%がR134aで構成されています。R134aは、モントリオール議定書のキガリ改正や米国のAIM(American Innovation and Manufacturing)法によって段階的に削減されている、高GWPのHFCです。
また、R513Aの構成要素の残り56%はHFOの1234yfであり、大気中に漏れるとトリフルオロ酢酸(TFA)に変化します。TFAは現在規制されていませんが、人の健康に害を及ぼす可能性があり、環境中に蓄積されているとの研究結果が次々と報告されているのです。本ファクトシートでは、成人の血漿中に高濃度のTFAを検出した中国での研究など、いくつかの研究を紹介しています。
最近の環境調査エージェンシー(EIA)の発表によると、北米にあるすべてのアイスリンクがアンモニアの代わりにR513Aを導入した場合、そのシステムの寿命期間中に石炭火力発電所15基分、自動車1300万台分のCO2eを排出することになると算出されています。
さらに、ファクトシートではCFCおよびHFC冷媒に関する化学業界の声明が、時間の経過とともに誤りであることが証明され、その後規制措置がとられた歴史を時系列で紹介しています。
「将来性のある唯一の冷媒は、自然冷媒です。自然冷媒は、世界中のアイスアリーナで、適切な技術と利用可能なスキルをもって試行錯誤されています。他の化学冷媒システムを導入して、規制が強化されたらまた交換しなければならないというリスクを冒す必要はないでしょう」(ATMOsphere共同設立者 マーケット・インテリジェンス・マネージャー イラナ・ケーゲレンバーグ)
Shecco社は北米のアイスリンク業界向けに、自然冷媒システムの包括的なガイドを作成しています。無料の出版物は2022年の第1四半期に発行予定です。
参考
Fact Sheet for Ice Rinks Highlights Environmental and Regulatory Differences Between NatRefs and R513A
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
原著者:マイケル・ギャリー
ATMOsphereネットワーク
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