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欧州メーカー各社、より野心的なFガス規制要請

欧州の自然冷媒システムの主要メーカーは、欧州委員会(EC)が最近提案したEU Fガス規制の改定案について、より野心的な提案を求め、より厳しいGWP制限、製品の禁止、環境被害への補償を提言している。

“高GWP冷媒”への厳しい制限を求める

4月5日に発表されたEUのFガス規制案は、2024年から欧州のHFCの段階的削減を加速させ、2048年までにHFCの使用量を2015年比で97.6%削減することを目標としている。

 

以前の規制では、同期間における削減目標は80%であった。この改正により、EUのHFCの段階的削減は、モントリオール議定書に完全に合致することになり、CO2、アンモニア、炭化水素などの自然冷媒採用の道がさらに開かれることになる。

 

今回の改定案では、GWP750以上のFガスを使用する12kW以上のスプリットエアコンやヒートポンプ機器を禁止するなど、特定の冷媒や機器に対する新たな規制が盛り込まれているが、一部のメーカーは、EU Fガス規制の提案は十分に進んでいないと考えているようだ。

 

ドイツ・TEKOのマネージングディレクターであるアンドレア・マイヤー氏によると、新規制に対して「冷媒のGWPに関する制限をより野心的に行うべき」と提言。GWPが50あるいは10以上であれば、除外すべきであるとも述べる。

 

同氏の発言は、EU Fガス規制案の発表を前に、3月30日に開催された「ATMO World Summit」でATMOsphereの創設者兼CEO、マーク・シャセロットとインタビューした際のものだ。マイヤー氏は、欧州のメーカーが自然冷媒技術で先行する中、なぜFガス規制で「強い主張」ができないのかと苦言を呈した。

 

ドイツの冷凍機メーカー、Seconのジェネラルマネージャーであるヨアヒム・シャット氏も、マイヤー氏の意見に賛同する。自然冷媒への迅速な移行は、気候政策上必要なだけでなく、EU経済圏の繁栄を確保する絶好の機会だとシャット氏は話す。

 

「私は、自然冷媒による市場性のあるソリューションがすでにあることを実証しているすべての適用除外を削除してほしいと思います。我々のような企業は、自然冷媒がほとんどすべての冷凍用途で安全かつ効率的に使用できることをすでに実証していますのですから」(シャット氏)

 

マイヤー氏は、高GWP冷媒の使用禁止や課税など、より強力な抑止力が必要だと話す。後者はEUレベルではなく、各国の管轄であることを認識しつつ、マイヤーはこうした措置がなければ、意味のある変化は起きないだろうと懸念を表明した。実際、同氏が言及する税制の例は、デンマークに存在する。

 

シャット氏は、マイヤー氏がEUのFガス規制をより厳しく管理するよう求めたことに共鳴し、冷媒の違法取引はすでに現行のFガス規制を妨害しているため、禁止に代わるものはないと述べた。

 

このようなアプローチを特に強く主張するわけではないが、シャット氏は「残念ながら、気候危機の影響を緩和するために、我々はすでにあまりにも多くの時間を失っている」と、自身の考えについて言及する。

 

こうしたFガス禁止令に加えて、シャット氏は今日すでに実証されている、あるいは合理的な疑いがあるすべての環境被害について、冷媒の生産者に全額支払いを義務付ける法案にも関心を示す。

唯一の道は自然冷媒である

HFOは、HFCの段階的な削減を支援するための暫定的な低GWPソリューションとして提案されているが、両氏ともにこのアプローチを支持しない。

 

「GWP値のみを考慮することは、いずれにしても誤ったアプローチです。このアプローチは、より大きくかつ広範囲な環境破壊を引き起こすであろう冷媒(HFOなど)へのシフトを、誘発しているのですから」(シャット氏)

 

「ATMO World Summit」にて、マイヤー氏は他の低GWP冷媒と比較した場合、価格以外にHFOを採用するメリットはほとんどないとの見解を示した。

 

シャット氏は、一部のHFO、HFC、HCFCの副産物であるTFAの潜在的な影響から、HFOを化学物質から人の健康と環境を守るためのEUのREACH規則に含める必要があると意見を述べた。

業界関係者の声

EUのFガス規制案が発表されて以来、メーカー以外にも多くのHVAC&R関係者が意見を表明している。

 

多くのNGOは、この提案は重要な気候変動目標を達成するための欧州の努力を損なう危険性があると警告。業界団体は、提案された変更があまりにも制限的で、欧州メーカーの競争力を脅かすと懸念を表明する。

 

METROのような一部小売業者は、欧州全域でトランスクリティカル(TC)システムを利用できるようになれば、HFCのような高GWP冷媒の必要性がなくなると考えている。METRO Propertiesのエネルギー管理担当ディレクターであるオラフ・シュルツ氏も、産業用冷凍機とHVACの両方で、新しい機器には自然冷媒のみを含めるべきだと強調し、「HFOも禁止の対象にすべき」と付け加えた。

 

私は、自然冷媒を用いた明らかに市場性のあるソリューションがすでに存在するすべての分野において、高GWP冷媒の適用除外を望みます。

Secon ジェネラルマネージャー ヨアヒム・シャット氏

 

参考

European NatRef Manufacturers Call for More Ambitious EU F-gas Regulation
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

 

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