PARTNERS
欧州

Innova社、室外機不要の初のR290 ACを開発

Innova社は、欧州連合(EU)が資金提供している「Life-ZeroGWP」プロジェクトを通じて、 室外機のない高効率の二重ダクト式R290エアコン(AC)「Innova 2.0NR AC」を開発したと発表。1回路あたりのR290充填量がは、150g以下に抑えられている。

60台以上のユニットで実証

Life-ZeroGWPプロジェクトは、イタリアのHVAC&RメーカーであるInnova社がコーディネートしている。プロジェクトのウェブサイトによれば、R290を二重ダクト機に適用したユニットは「Innova 2.0NR AC」が初めてだという。同機種はACとヒートポンプ両方の機能を持つ、既存のInnova 2.0を再設計したものである。再設計の過程で、熱交換器、熱可塑性射出成形構造、銅パイプ、熱音響断熱材などが更新された。2022年初頭から市販され予定だ。

 

新機種はコンパクトな設計で、エネルギー消費量と直接排出量を削減。各冷凍回路で使用するR290は150g以下で、欧州の既存の安全基準を満たしている。Innova社が開発するユニットはいずれも密閉型コンプレッサーを採用しているため、F-gas認証を受けた冷凍技術者が必要なく、室外機がないため配管や継手が不要。ユニットは分散型であるため、設置の際に建物内の既存の配管に手を加える必要がない。

 

このプロジェクトの目的の一つは、R290二重ダクトAC技術の信頼性と移植性を実証することだった。その一環として、2020年6~8月にかけて、イタリア、スロバキア、チェコ共和国で60台以上のユニットを、長寿命試験、現場検証、顧客評価のために住宅へ設置した。設置されたユニットはすべてインターネットに接続され、データを集積した。

 

「Innova 2.0NR AC」 で得られた結果は、このソリューションが技術的に実現可能であり、最も厳しい欧州の安全基準に準拠していることを示しただけでなく、エネルギー効率と利便性の点で、市場で最も優れたHFC機と同等の結果を達成していることを示していると、Life-ZeroGWPは発表。 「Innova 2.0NR AC」 の技術は、高・中GWPのHFC冷媒ソリューションの優れた代替品となるとした。

 

Life ZeroGWP 2.0NRは、Kigali Cooling Efficiency Program(K-CEP)、Cool Coalition、Carbon Trustが作成している「Pathway to Zero Greenhouse Gas Emissions for Cooling(冷房における温室効果ガス排出ゼロへの道)」レポートにノミネートされている。このレポートには、世界中のサステイナブルなHVAC&R製品のリストが含まれている。

参考

EU Project Develops First R290 AC With No Outdoor Unit

原著者:タイン・スタウスホルム

ATMOsphereネットワーク

今回ご紹介した海外事例の記事・発表について詳細を知りたい方・意見交換したい方は、ぜひATMOsphereネットワークにご参加ください!クリーンクーリングと自然冷媒の分野で志を同じくするステークホルダーと交流しましょう。(ATMOsphereネットワーク