カリフォルニア州に本拠地を置く、圧力交換器メーカーのEnergy Recovery, Inc.は、高環境温度の場所で使用されるトランスクリティカル(TC)CO2冷凍システムの効率を大幅に向上させる圧力交換器の販売が、間近に迫りつつあると発表した。
国立研究所からの依頼により開発
Energy Recovery社のエンジニアリング担当副社長、K.C.チェン氏によれば、TCCO2対応圧力交換装置「PX G1300」は、ガス冷却器からの高圧ガスを利用して、低圧のフラッシュバイパスガスを昇圧するという。
高圧になったガスは、中温の圧縮機ではなくガス冷却器に戻すことで、エネルギーを節約することが可能だ。Energy Recovery社は、「PX G1300」によって、標準的なTCCO2システムのCOPを、32.2°Cの環境下で最大50%高めることができると試算している。
システム設計はすでに完了しており、同社はCO2冷凍機メーカーをパートナーとして、市場投入まであと少しの「初期段階」までこぎつけた。価格面についても、「PX G1300」は十分競争力を備えていると自信をのぞかせる。
Energy Recovery社はCO2冷凍システムの効率を高めるため、圧力交換器の研究を行っていたオークリッジ国立研究所から、関連アプリケーションの開発を依頼される形で「PX G1300」を設計。同製品はチェン氏が「回転ドアのようなもの」と表現するように、高圧側が低圧側の圧力を上昇させることで、直接的なエネルギー交換を可能にしている。冷却能力の違いに応じて、ドアの回転速度の調整が可能だ。高圧ガスは低圧の冷却水となり、液体レシーバーへと送られる。
「PX G1300」は、エジェクターやパラレルコンプレッサーなど、温暖な気候でのTCCO2システムの効率を高める既存技術の代替手段として注目されている。Efficient Energy社によると、エジェクター技術は一般的に約14気圧(200psi、14bar)以下までを管理できるが、「PX G1300」はシステムの要求に応じて、無制限に圧力を管理できるため、気温が上昇しても性能を維持できるという。
チェン氏は、TCCO2冷凍機のエネルギー使用量を削減する「PX G1300」は、同社のESGイニシアチブにも完全に合致すると話す。Energy Recovery社の初のESGレポートは、Corporate Register Reporting Awardsの「Best 1st Time Sustainability Report」に、他の8社とともリスト入りしている。
参考
California Company Close to Marketing New Device for Boosting Efficiency of Transcritical CO2