日本電産株式会社(Nidec)のグループ会社であるブラジルのコンプレッサーメーカー、Embraco社は、2010年以降、同社のR290およびR600aコンプレッサーが、HFCからの転換で地球上の1,568,025tのCO2排出量を削減したと発表した。
炭化水素で気候変動問題に貢献
この内容は、グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に合わせ、NidecのR&Dマネージャーであるジョセフ・セドリアク氏による記事で明らかとされている。そのなかでセドリアク氏は、「この数字は、米国環境保護庁のオンライン計算機によれば、341,000台の自動車を1年間路上から取り除いた場合に削減できるCO2排出量に相当する」という。
この計算には、主に業務用冷凍コンプレッサーに使用されていたR404AからR290へ移行した数字と、家庭用製品に使用されていたR134aからR600aへ移行した数字が含まれている。
Embraco社の売上に占める自然冷媒コンプレッサーの割合は、急速に高まってる。炭化水素コンプレッサーを1994年に作り始めてから、2010年には売上の40%を同製品が占めるようになる。それが2019年には49%となり、わずか2年後の2021年には57%にまで上昇した。
セドリアク氏は、同社の功績が「HVAC&R業界が、気候変動にどれだけの貢献を果たせるか」を示す数字であると明言。冷蔵業界が全世界のCO2排出量の約10%を占めているということからも、我々の業界の貢献と不断の努力が不可欠だと強調した。
セドリアク氏は、記事内にでイギリスのバーミンガム大学の研究結果を引用。この研究では、冷凍冷蔵分野におけるCO2排出量の約20〜25%は、HFC冷媒ガスの漏れによって発生していると結論づけている。残りの75%は、エネルギー消費による間接排出だ。
Niecは、「HFC使用量の削減」と「エネルギー効率の向上」という2つの方法で、冷凍冷蔵業界の気候への悪影響を軽減するという課題に取り組むとセドリアク氏は説明する。
これにより、直接的なCO2排出量と間接的なCO2排出量の両方を削減することができるのです。
Nidec R&Dマネージャー ジョセフ・セドリアク氏
エネルギー効率の向上による間接的な排出量の削減も、炭化水素が有利な分野だ。Embraco社のケーススタディでは、HFCのR404AからR290に移行することで、最大10%の省エネ効果が得られることが分かっているという。
可燃性冷媒の安全性への懸念について尋ねると、適切な安全基準のもとでの運用、生産体制、メンテナンスでほぼ対処可能とした。「現に、ヨーロッパの家庭用冷凍庫ではR600aを低圧で使用するなど、炭化水素への移行が成功しており、この技術の安全性を証明しています」(セドリアク氏)
参考
Embraco’s Move from HFCs to Hydrocarbons has Saved 1.5M Metric Tons of CO2e
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
原著者:タイン・スタウルホルム
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