2020年8月、スイスを拠点とするバーゼル持続可能エネルギー庁(BASE)は、同庁が進めるCooling as a Service(CaaS)事業に冷凍冷蔵空調機器の優れたメーカーを表彰するCaaS賞に、ナイジェリアの拠点を置くColdHubs Ltd.を選んだ。同社は発展途上国メーカーのモデルとして、今後の活躍が期待されている。
CaaSの目指す完璧な姿を体現
CaaSは、エンドユーザーがイニシャルコストの非常に高い冷凍冷蔵空調機器導入のプロジェクトを計画する際の、資金調達に役立たれている。BASEはモントリオール議定書キガリ改正に基づき、CaaS事業における契約、マーケティング資料作成、イベント企画等の管理を行っている。
受賞者であるColdHubsは、ナイジェリアにてR290(プロパン)を使用した冷蔵スペースのレンタルを行っている(電源には太陽エネルギーを活用)。同スペースは食糧損失のリスク軽減に大きく貢献。収穫後の小規模インフラストラクチャを改善したことで、2019年だけでも20,400mtの食糧を腐敗から救うことができた。
「ColdHubsのソリューションは、Cooling as a Serviceが目標に掲げる、クリーンクーリングテクノロジーを採用して社会の障壁を克服する完璧な事例です」
BASE 持続可能エネルギーファイナンススペシャリスト トマス・モットマンズ氏
食料廃棄物の削減でナイジェリア社会に貢献
2015年に設立されたColdHubsは、小規模農家、小売業者、および園芸作物の卸売業者向けに、オーダーメイド型の店舗単位のサービス提供モデルを開拓した。同事業は堅牢な冷蔵倉庫を配備して運用することにより、食品サプライチェーンにおける重要な課題であった「食品の腐敗」をなくすことを目的としている。
そのために、ColdHubsは、農場集積センター内で自社ブランドの「ウォークイン・コールドルーム」を設計、設置、委託、および運用する。同施設は、果物、野菜、その他生鮮食品を24時間年中無休で保管および保存するために使用され、保存期間を2日から21日以上に延ばすことが可能だ。
ColdHubsは食品廃棄物の削減により、農家や小売業者の収入を増やし、ナイジェリアの地域社会、特に女性に力を与えることができた。
「弊社ColdHubsは現在、ナイジェリアの南部および北部地域の18の農場、集約センター、および市場に設置された24の冷蔵室を使用して、3,517の農家、小売業者、卸売業者にサービスを提供しています。ナイジェリア全土でさらに30のColdHubsが建設中であり、2020年末までにColdHubsの予測合計数は54に達します。
ColdHubs 創設者兼CEO ナエメカ・イケグウオヌ氏
参考記事
ColdHubs Wins Prize for R290 Cold Storage Network in Nigeria