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アルゼンチン、AC部門の長期的な解決策としてR290を検討

アルゼンチンは、キガリ改正履行に向けて、ルームエアコン用にR290を検討している。もう一つの選択肢であるR32に関しては、政府関係者をはじめ懐疑的な見解が多く示されている。

R32への懐疑的姿勢露わに

2021年11月18日に開催されたウェビナー「Climate-friendly, low-GWP refrigerants for room air conditioning」では、同国が空調分野でどのようなアプローチをとるかが議論された。ウェビナーはアルゼンチンの環境・持続可能開発省(Ministry of Environment and Sustainable Development)とUNIDO(国連工業開発機関)が主催したもので、政策立案者向けの情報収集を目的としている。

 

アルゼンチンは、地理的条件と世界的な気温上昇から空調分野(特に家庭用電化製品)の急速な成長が見込まれており、同時にHFC消費量増加の懸念材料と考えられている。これらの理由から、同分野ではキガリ改正の削減義務を遵守するために、アルゼンチンが最初に取り組むべき対象の一つとされている。

 

ウェビナーでは空調用冷媒としてR290とR32の両方が取り上げられましたが、環境・持続可能な開発省のローラ・ベロン氏は、R32については懐疑的な考えをあらわにした。

 

同氏はウェビナーにて、R32転換への疑問を明言。究極のHFC削減目標を達成するために、R32はいずれ廃止されるべき物質の一つであると語った。その一方で、将来的な制限のリスクがないR290をはじめとする自然冷媒は、その使用実績を着実に増やしている。ベロン氏によると、2015年には全分野のオゾン層破壊物質の代替品の25.6%が、炭化水素、CO2、アンモニア、R30で構成されているという。

 

2019年にキガリ改正を批准したアルゼンチンは、発展途上国として2024年にHFCの生産と消費をベースラインレベルで凍結し、2029年に10%、2040年に50%、2045年に80%削減することを条約で義務付けられている。アルゼンチンのAC分野は、2013年からHCFCからHFCへの転換が行われている。

R290を推す声相次ぐ

ウェビナーでは、中国Midea社が同社のR290空調システムの製品を紹介。同社製品は、2018年にドイツのブルーエンジェル認証を取得した製品や、2020年にUNIDO賞を受賞した製品などがある。Midea社のR290空調は、2022年には欧州でも普及する見込みだ。

 

ウェビナーでは、英国のコンサルタント会社Re-Fridge社のマネージャーであるダニエル・コルボーン氏が、冷却システムにおける炭化水素の安全性の問題と、その開発を妨げている「時代遅れな」安全基準について批判。同氏は、さまざまなワーキンググループがこれらの基準を更新しようとしていることに言及した。

 

コルボーン氏は、2014年に行われた調査に基づき炭化水素を使用したスプリットエアコンの可燃性リスクが極めて低いことを指摘。どこにでもある炭化水素を使用した家庭用冷蔵庫の可燃性リスクよりも、さらに低いことを示した。

 

同氏もまた、20年後GWPが2,530(100年後GWPは704)であるR32の将来性にも疑問を投げかける。「過去数年間の経過を見ると、ほとんどのHFCは将来性がないことがわかります。R22からR410a、そしてR32から?より将来性のある冷媒を使う方が、ずっと理にかなっているのではないでしょうか」(コルボーン氏)

参考

Argentina Looks at R290 as Possible Long-Term Solution for the AC sector
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

 

原著者:トマス・トレビザン

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