カリフォルニア州が100万米ドルのFガス削減奨励プログラム(FRIP)に基づき、スーパーマーケット15店舗のCO2冷凍システムを中心とした環境配慮型機器の導入を支援すると発表した。
CO2を中心に自然冷媒システムを採用
15店舗は食品小売業者5社がそれぞれ所有しており、そのうち4社が新たにCO2機器を導入。その内訳は以下の通りである。
- ALDI US(新店7店舗)
- Whole Foods Market(既存店4店舗)
- Costco Wholesale Corp. (新店1店舗)
- Stater Bros.Market(新店1店舗)
- Vallarta Supermarkets(既存店2店舗)※R404からR449Aへの切り替え
ALDI USの7店舗のうち、6店舗にはトランスクリティカルCO2システムが導入され、1店舗にはウォーターループシステム採用のR290システムを採用している。トランスクリティカルCO2システム採用の6店舗のうち、4店舗では断熱ガス冷却器を使用。他2店舗にはパラレルコンプレッションとガスエジェクター技術が用いられている。ALDI Südの一部門であるALDI USは、3月に400近い店舗で自然冷媒を使用していることを発表。そのほとんどがトランスクリティカルCO2である。
今回のALDI US7店舗に対するFIRPの資金提供は、自然冷媒の導入を促進する環境NPO、NASRC(American Sustainable Refrigeration Council’s、北米持続可能な冷凍冷蔵競技会)のAIP(Aggregated Incentives Program)を通じて行われた。NASRCは、FRIPの資金総額100万米ドルのうち、88万米ドルの確保にAIPプログラムが貢献したと述べている。
Whole Foods Marketの4店舗のうち、サンフランシスコの1店舗に断熱ガス冷却器付きのトランスクリティカルCO2システムを導入。他3店舗では、断熱ガス冷却器と熱回収技術を備えたCO2/R448Aハイブリッドシステムを採用する予定だ。
CostcoとStater Bros.の店舗では、前者で熱回収、後者で断熱ガス冷却器を備えたトランスクリティカルCO2システムを使用する。
FRIPの受賞者は、助成金に加えてデータの共有、サービスの人材育成活動に参加するなど、米国での自然冷媒の導入を遅らせている障壁への対処に協力していくこととなる。NASRCは、AIPの一環としてこれらの活動を支援する。
カリフォルニア冷却法に基づき設立
カリフォルニア大気資源委員会(CARB)が管理するFRIPは、自然冷媒システムの高い初期費用を食料品店が負担するのを支援するため、カリフォルニア冷却法(SB1013)に基づき2018年に設立されました。
FRIPは温室効果ガスの排出量を削減するプロジェクトに、キャップ・アンド・トレード制度を活用し数十億米ドルの資金を供給する全米規模のプログラム「カリフォルニア気候投資(California Climate Investments)」の一部である。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、カリフォルニア州の2021年度予算では、FRIPの資金が更新されなかった。NASRCは声明にて、「既存の店舗におけるシステムの全面的または部分的な交換をサポートするために、将来的にプログラムが追加の資金を受けられるように提唱する」と延べている。FRIPをサポートするために設計されたNASRCのAIPプログラムは、2020年に開始された。