米カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は021年1月22日、総額100万ドルの助成金を発表。スーパーマーケット14店舗による「超低GWP」冷蔵システムの新規導入ならびに、スーパーマーケット2店舗の冷媒設備改修を支援すると発表した。
16店舗に100万ドルの支援を実施
14店舗は食品小売業者5社が所有している。内訳としては、ALDI US(7店舗)、Whole Foods Market(4店舗)、Costco Wholesale Corp.(1店舗)、Grocery Outlet(1店舗)、Stater Bros. Market(1店舗)である。設備更新の2店舗は、いずれもVallarta Supermarketsが所有している。
「これは政策モデルとして非常に刺激的であり、まもなく段階的に廃止されるガスをまだ使用しているスーパーマーケットにとって、腕の見せ所になることを期待しています」環境調査庁の気候キャンペーンリーダーであるアビプサ・マハパトラ氏は述べる。
超低GWPシステムを導入している14店舗のうち6店舗は、低所得者が多く住む地域に位置しており、バジャルタの店舗は2店舗ともそのようなコミュニティにある。助成金でも最大の規模となる150,000米$は、サンフランシスコの低所得者層の地域にあるWhole Foods Marketの店舗に送られた。
新システム補助金の対象となる具体的な冷凍システムは明らかにされていないが、現在スーパーマーケットで使用されている「超低GWP」冷媒に該当するのは自然冷媒システムのみとなっている。
米国の自然冷媒システムの大手食品小売店ユーザーであるALDI USは、2020年10月の時点で、360店舗に自然冷媒システム(主にトランスクリティカルCO2システムを採用)を採用。Whole Foods Marketは、カリフォルニア州ではすでに複数のトランスクリティカルCO2システムのほか、アンモニア/CO2ならびにR290/CO2のカスケードシステムを導入している。
CARBは、この助成金が現在、全国の店舗の1%未満にしか導入されていない新技術をサポートするものであり、米国内の限られた数の店舗でしか導入されていないものもあると認める。その上で、リチャード・コーリー執行役員は次のように声明を発表した。
これらの助成金は、気候変動の影響を最も受けている低所得者や不利な立場にあるコミュニティに焦点を当て、気候汚染を大幅に削減するソリューションを支援するものです。州のインセンティブを民間部門に提供することは、業界全体、特に食料品店やスーパーマーケットにおける気候に優しい冷蔵ソリューションへの移行を加速させるのにも役立ちます。
CARB 執行役員 リチャード・コーリー氏
初のFRIP助成
これらの助成金は、カリフォルニア州のFガス削減奨励プログラム(F-gas Reduction Incentive Program、FRIP)の下で、CARBが実施した最初の助成金である。助成金は地球温暖化の可能性がはるかに低い新しい冷媒を使用した、スーパーマーケットや食料品店の商業システムの新規導入や既存システム更新にかかる費用の一部を負担し、全国でもごく一部の店舗にしか導入されていない気候に優しい技術を含む新しい冷蔵技術を導入することを目的としてている。
FRIPへの資金提供は、カリフォルニア州気候投資プログラム(California Climate Investments program)からのものであり、州の温室効果ガス排出量削減のためのキャップアンドトレードプログラムから得られる資金を利用している。 100万米ドルの資金は、2019〜2020年のカリフォルニア州予算で承認された。FRIPは、当時の州上院議員で現カリフォルニア州保険委員のリカルド・ララ氏の「カリフォルニア冷房法(SB 1013)」によって、2018年に設立された。
参考
California Awards US$1 million to Supermarkets for ‘Ultra-Low-GWP’ Systems