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自然冷媒採用の加速を予感させるCaaSモデルの未来

CaaS(The cooling-as-a-service)は、実際に冷却システムを運用して発生したコストを支払うビジネスモデルであり、自然冷媒システムの懸念材料の1つである先行投資は必要ないという特徴を持つ。

 

CaaSモデルを多いに支持する、スイスに本拠を置くBasel Agency for Sustainable Energy(BASE)は、キガリ冷却効率計画(K-CEP)に加えCaaSイニシアチブも牽引するリーダー的存在だ。CaaSイニシアチブは、自然冷媒を伴う高効率の冷却システムに資金提供し、さらにCaaSモデルにてコスト問題を解決することで、冷却システム由来のエネルギー消費、温室効果ガス排出量削減を目的としている。

 

BASEは2020年12月1日に無料のオンラインイベント「Cooling-as-a-Service Global E-Summit」を開催。同イベントではケーススタディパネルなどで、南米、アジア、アフリカ等から集まったCaaSサービスモデルを採用したビジネスリーダー達を特集している。

CaaS普及活動をさらに加速

弊サイト発行元のsheccoは、CaaSモデルの可能性について BASEのシニアエネルギー効率ビジネスディベロッパーであるディミトリス・カラミソス氏に意見を聞いた。

 

同氏は2021年、CaaSモデルの普及で自然冷媒設備採用の流れは一層加速するだろうと予測。自然冷媒設備はかねてより、イニシャルコストは高いが運用コストは低いという特徴を有している。同モデルは高効率なシステムを、参入障壁を低くして提案できるのが大きな利点だ。既存システムの運用から廃棄のフェーズに至る際、多くの業界関係者はCaaSのソリューションに興味を示すだろうとカラミソス氏は指摘する。

 

2018年、BASEは価格設定モデルと汎用性のある契約内容を整理し、関係者がCaaSモデルを採用・運用して市場を活気付けるための準備を始めた。同社はCaaS採用を主流とできるよう、独自の「CaaSアライアンス」を結成し、現在50人以上のメンバーが名を連ねている。

 

現在に至るまで、BASEは記事、ウェビナー、イベント等でCaaSモデルの認知度を高める活動を続けており、HVAC&R業界、農業、医療とあらゆる業界でプロジェクトの促進を支援してきた。

 

CaaSイニシアチブは2021年までに、市場関係者(プロバイダー、投資家、エンドユーザー)全体に、CaaSモデルが持続的に成長できることを証明できるであろうとカラミソス氏は明言。その最終段階の1つとして、BASEは複数のプロジェクトを進行し、また新たなビジネスチャンスを追求していくとした。

 

冷房分野内だけで数えても、2020年11月時点でCaaSモデルの市場規模は約5,000万米ドル相当だとされている。そして、この数字は今後CaaSモデルを採用する新たなプレーヤーによって、さらに成長・拡大していくだろうとカラミソス氏は予想する。

今後3年以内に、CaaSモデルは累積で約3億米ドルもの規模に発展するでしょう。そして5年以内には15億米ドル、10年以内には80億米ドルまで成長するはずです。

BASE ディミトリス・カラミソス氏

参考記事

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