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ブラジルのスーパーマーケットチェーン、リモートR290システムで省エネを実現

ブラジル・クリチバ市のスーパーマーケット、Supermercado Condor(Wenceslau Braz)は、R290の遠隔システムを採用。R134aを使用している同チェーンの店舗や、市内の同規模のスーパーマーケットと比較すると、30kWh/月(約3.5%の削減)の省エネを実現している。

産官の共同事業で実現

2019年4月に設置されたこのシステムは、R290/グリコールチラーとR290/グリコール/CO2カスケードシステムで構成されている。データは2020年10月22日に開催された自然冷媒国際会議「ATMOsphere America」の、ラテンアメリカに焦点を当てたプログラムの中で、冷凍技術の提供者であるブラジルのOEM、Eletrofrioのエンジニアリングマネージャーであるロジェリオ・マルソン・ロドリゲス氏によって共有された。

 

同プロジェクトは、Eletrofrio、国際連合工業開発機関(UNIDO)、ブラジル環境省の共同事業として行われ、モントリオール議定書のキガリ修正案に端を発している。ブラジルはまだ同議定書を批准していないが、世界的に進む段階的なHFC削減に呼応した形となる。

 

ロドリゲス氏によれば、Eletrofrioはブラジルで4店のスーパーマーケットにて、このシステムを使用しており、いずれも好評を博しているという。また米国カリフォルニア州サンタクララの店舗でも、遠隔型R290システムが使用されている。

冷媒漏えい防止、低充填量にも配慮

同社の遠隔システムは、ショーケース内に内蔵型R290コンデンシングユニットを使用している、世界中では主流となりつつあるR290システムと異なる設計を持つ。

ロドリゲス氏は、システムをできるだけ安全にするため、中温キャビネットや冷蔵室にはグリコールを使用し、低温はCO2(グリコールで冷却)で対応したと説明。つまり、R290は機械室内でのみ循環し、そこではドライクーラーで冷却された水で凝縮されているのである。

 

「R290は可燃性の液体ですが、怖がるべきではありません」(ロドリゲス氏) 

 

冷却サイクルは、Eletrofrioの「EcoP B」という密閉ボックス内で行われ、冷媒の漏えいを防ぎつつ、冷却に必要なR290の量を1箱あたり1.90kg(4.19ポンド)、合計で11.4kg(25.14ポンド)と可能な限り削減している。

 

今回の導入事例では6個の「EcoP B」があり、それぞれ23.2kW(6.6TR)の冷却能力を持つ。各ボックスにはグリコールを-3℃(26.6℉)まで冷却するR290チラーと、低温ケース用の6台のサブクリティカルCO2コンプレッサーが含まれており、CO2の蒸発温度は-26℃(-14.8℉)、低温キャビネットは-18℃(-0.4℉)まで冷却される。

 

同ボックスは別に、11.63kW(3.3TR)と34.88kW(9.9TR)の2機種も用意されている。万一の水漏れに備えて、遠隔監視システムで制御された空気抜き機構を搭載しており、ボックス内を負圧に保つことが可能である。