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BACの蒸発式ハイブリッドクーラー、省エネ・節水両面に効果発揮か

米国のCO2蒸発・断熱冷却装置メーカーであるBaltimore Aircoil Company(BAC)は、エネルギーと水の消費量を削減する新しいハイブリッド冷却技術を発表した。同社の新しい熱伝達技術は、特に水が不足している地域であり、水節約のための高い技術が求められている用途に向けて開発。この技術を採用したモデルは、エネルギーと水の消費量が削減可能だ。

節水、メンテナンスコスト低減に期待

BACの断熱ガス冷却装置「Trillium」シリーズは、全米のスーパーマーケットに設置されているトランスクリティカルCO2システムに広く採用されている。今回発売されるクーラー「HXV Hybrid Cooler」は、約40馬力の容量を持ちデータセンター、製造工場、プロセス冷却工場、HVACオペレーションなどをターゲットに展開予定だ。

 

同製品を最初に採用したのは、大規模な液化天然ガス施設であり、工場内のプロセス冷却にこのユニットを設置。その選択の要因となったのは、節水とプルームの削減だった。施設はHXVのモジュール性を高く評価しており、「現場での作業を最小限に抑え、現場で設置する機器に比べて設置時間を短縮できるという評価を受けております」と、BACは述べる。

 

HXVモデルは従来の蒸発式流体冷却器と比較して、最大70%の節水、最大25%のメンテナンス費用削減が可能であると、BACの北米製品マーケティング担当マネージャー、ベン・コーエン氏は説明する。年間を通じてのドライ運転を可能としたことで、メンテナンスコストの中でも化学薬品の費用を約70%節約できるという。

 

コーエン氏は、HXVは空冷ユニットに比べて最大60%ものエネルギー効率が高いとも説明。クロスフローハイブリッド技術を採用したことにより、ドライスイッチポイントは従来モデルより6.3°C高い、0.22°Cだという。

 

「クロスフロー設計により、主要なコンポーネント(特にコイル、モーター、充填・噴霧分岐部、集水槽)にアクセスするための十分なスペースを確保できることとなりました」(コーエン氏)

 

HXVの設計には、2つのコイルセクション(プライムサーフェスコイルセクション、フィン付きコイルセクション)がそれぞれ含まれる。2つのセクションは3つの異なるモード―ウェット/ドライの組み合わせ(エネルギー節約)、断熱、ドライ(水節約)―で動作する。

 

このことは、ユーザーが特定のアプリケーションのニーズに基づいて、水とエネルギーの節約のバランスをとることができることを意味します。それにより、エネルギー節約モードが最も効率的な熱伝達と、流量制御を提供できるのです。

BAC 北米製品マーケティング担当マネージャー ベン・コーエン氏

省エネモードの搭載

「HXV Hybrid Cooler」は省エネモードを搭載。初期冷却はフィン付きコイルセクションにて行われ、コイル上を通過する空気が内部流体を予備冷却。その後、スプレー水が主表面コイル部に分配され、第一次蒸発冷却が行われることとなる。

 

顕熱冷却と蒸発熱伝達技術両面の仕組みにより、エネルギー節約モードではピーク時の設計条件でも、従来の蒸発式ユニットと比べて大幅な節水が可能だという。

断熱モードと節水モード

同製品の断熱モードでは、プロセス流体はフィン付きコイルセクションのみを流れ、主表面コイルセクションを中継。その間に水は蒸発し続け、フィン付きコイルに到達する前に流入する空気を予冷する。これにより、顕熱伝達率が大幅に向上されるという仕組みだ。

 

また断熱モードでは、システム効率を最大化するため、必要な低い流体設計温度を維持しつつ、水の消費量を最大75%まで削減できるとコーエン氏は説明する。一部のオペレータにとって重要といえる断熱モードのもう一つの利点は、空気が完全に飽和しているとき、寒冷かつ湿気の多い状態でしばしば発生するプルームを減らせるという点だ。

 

また節水モードでは、熱伝達面積を最大化するために両方のコイルエリアが使用される一方で、水噴霧ポンプがオフとなり水の消費量がゼロになる。節水モードはプルームを完全に排除し、機器がさらに高いドライスイッチポイントを達成できるよう補助する。