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【ATMO EUROPE 2021】HFC削減の強化へ意欲を示す関係者の姿勢鮮明に

2021年9月28、29日にオンラインで開催された「ATMOsphere Europe Summit 2021(ATMO EUROPE 2021)」の「EU F-Gas Policy」パネルにて、欧州各国の政府団体・業界関係者が登壇。HFCのより積極的な削減に対して、意欲的な意見が示された。

現行規制をさらに強化へ

欧州委員会(EC)クリマ総局の副ユニット長であるベンテ・トランホルム=シュワルツ氏は、欧州連合(EU)の2050年の気候目標を達成するためには、欧州は今世紀半ばよりもずっと早い段階で、Fガスの排出を停止する必要があると主張。

 

欧州の気候目標は、2030年に欧州全体のCO2e排出量を55%削減するための13の法律案からなるパッケージとして、7月にECが発表した現行のEU F-Gas規制は、HFCの排出量を2030年までに1990年比で72〜73%、2050年までに70〜78%削減することを目標としている。しかし、ECは現在F-Gas規則の改定案を微調整しているという。改定案は2022年前半には提示される見込みで、発効前に欧州議会と欧州理事会で三者間協議が行われる予定だ。

 

ドイツ環境庁(UBA)は、2030年までにHFCの排出量を90%削減するという目標を掲げていると、UBAの科学者・政策アドバイザーであるディアナ・タルハイム氏も、「ATMOsphere Europe Summit 2021」のポリシーセッションで言及している。UBAによると、同目標により既存のHFC段階的削減計画と比較して、さらに1億トンのCO2e排出量が削減されることとなる。

 

またドイツの提案では、エアコン、定置式冷凍機、ヒートポンプのGWP制限値を150としている。タルハイム氏は「この目標を実現するに足る、多くの新しいアプリケーションが市場に参入してきています」と話す。UBAは5月、最新世代のFガスであるHFOの潜在的な環境への影響に焦点を当てた報告書を発表し、報告書内で「自然冷媒による代替を優先して促進すべき」と提言している。

HFCの使用禁止を求める

3人目のパネリストである環境調査エージェンシー(EIA)の気候キャンペーンリーダー、クレア・ペリー氏は、HFCを使用した家庭用一体型エアコンの使用を禁止し、ヨーロッパでのFガスの違法取引を是正するとともに、Fガスを使用しないエネルギー効率の高いヒートポンプを支援することを訴えた。

 

我々はもう、技術的に回避可能な場合にはHFCを使用すべきではないのです。

EIA 気候キャンペーンリーダー クレア・ペリー氏

 

R290業務用ショーケースを製造する、アイルランドのNovum社のイノベーション・ディレクターであるオイン・レノン氏は、より積極的なHFCの使用禁止と自然冷媒を使用する産業へのインセンティブ、減税、トレーニングプログラムなどの支援を呼びかけた。同氏はClean Cooling Coalitionを代表して、HFOの環境や人体への影響が調査・分析されていることから、HFOの導入には注意が必要だと主張した。

参考

ATMOsphere Europe: F-Gas Emissions Need to Stop Before 2050, Says European Commission Official

原著者:マイケル・ギャリー

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