2021年2月15日、オンラインにて開催されたshecco Japan主催の自然冷媒国際会議「ATMOsphere Japan 2021」。経済産業省製造産業局 化学物質管理課 オゾン層保護等推進室 課長補佐の下京田 孝氏は、フロン排出抑制対策の動向について発表。指定製品制度の新たな動きも説明した。
新たな技術開発の支援と、リスク評価の確立
経済産業省と環境省は、ともに連携し2018〜2022年度の5年間の期間にて、自然冷媒等次世代冷媒の開発・導入を計画的に推進。そのうち、経済産業省は代替フロン・特定フロンからの冷媒転換が難しい分野において、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)と連携し、産学の技術開発を支援している。
主な分野は、小型業務用冷凍冷蔵庫、業務用エアコン、家庭用エアコンといったHFCを使用している領域である。
特に注視しているのは、燃焼性を伴う冷媒である。下京田氏は発表にて、冷媒の漏えいを想定した着火リスクの評価手法を確立し、これらの冷媒のさらなる実用化と、日本の技術を海外へ広めたいと説明する。
3月のワーキンググループにて、指定製品の追加検討を実施
また、経済産業省はフロン排出抑制法に基づく「指定製品制度」の運用も実施。同制度では各種指定製品のメーカーおよび輸入業者に対して、製品区分毎に定められたGWPの目標値の達成を求めている。そして、製品区分毎に最もGWP値が小さい製品=トップランナーを定め、それらを普及できるように定めている。
指定製品の対象となる製品は、次の考え方に基き決められている。
- 国内において大量に使用され、相当量のフロン類が使用されている
フロー要件とストック要件の2点でフロン類使用量を計算し選定。 - 転換候補となる代替技術があること
4点(安全性、経済性、性能、新たな技術開発・商品化の見通し)に留意して判断。
2020年2月14日に開催された産業構造審議会 フロン類対策WGにおいて、WGは次の4点を新たに指定製品へと追加検討する方向で合意された。
- ビル用マルチエアコンディショナー
- 自動車用(トラック、バス)エアコンディショナー
- 洗浄剤、溶剤
- 業務用一体型冷凍冷蔵機器
下京田氏によれば、このうちビル用マルチエアコンディショナーについては、他3製品に先んじてステークホルダー会議を設置。一般社団法人 日本冷凍空調工業会(日冷工)を事務局として、メーカー、設置事業者、施主、建築事業者といった関係者を交えて議論を進めているという。
2021年3月に開催予定のWGでは、これらの指定製品化へ向けて追加議論を重ねる予定だ。